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議論が偏っている「PPAP問題」

PPAP」すなわち

「メールの添付ファイルとして

 パスワード付ZIPファイルを送って

 パスワードを別メールで送信する方法」

が話題になっています。

xtech.nikkei.com

 

私の周りの実態としては

会社間でやり取りする機密情報を含むファイルは…

  1. ファイル自体に、予め決めておいたパスワードをかけてメールで送る
  2. オンラインストレージを利用する

これらのどちらかの手段を使っていて

パスワード付ZIP+パスワードメールは

ここ数年、一度も届いたことがありません。

 

この問題、議論がどうも「専門家目線」に

偏っている気がします。

 

というのも

PPAPはセキュリティ上、効果がない」

と、専門家の皆さんが

おっしゃる理由はよくわかりますが

それを言ったところで

「"○○です。お世話になっております"と

 毎回メールの冒頭に書くのは無意味」

と言うのと、同じレベルだと思うんです。

 

言ってることは正しいんでしょうけど

メールがビジネス上、インフラ化していること。

そして、

ファイル自体にパスワードをかけられない場合は

パスワード付ZIPにして送る

という手続きが慣習となっていること。

 

これらが事実としてある以上は

個人の判断で、勝手には辞められないわけです。

 

だから今回の問題で、広く世間が知りたいのは

  • 今まで会社にやれって言ってきたのになぜ急にダメと言われるのか?
  • じゃ今後どうすればいいのか?

この2つだけなんです。

でも、この2つは分かりやすく話されていません。

 

ITに携わる人たちに多い、悪い癖に

「相手の知りたいことに適切に答えない」

というのがあります。

自分もかつてそうだったので

今は反省しているんですけどね。

 

分かりやすい説明も、代替方法の提示もなく

急に「パスワード付ZIPは悪だ」と

官が言い出すのはいかがなものかと思います。

 

そして「受け取った側だけに負担を強いる」と

パス付ZIPを批判する人たち。

そういう人たちは、自分が

「今までそれを良しと言われてやってきたのに

 急に手のひらを返され、悪と言われた人」に対し

一方的に負担を強いている

ということには気付いていません。

 

相手を思いやる気持ちが欠けている状態で

「お互いの安全と効率の両方に配慮した

 ファイル送受信の新しい取り決め」

なんて作れるはずがありません。

 

専門家のみなさんと、デジタル庁のみなさんは

少し考え方を改めた方がいいのではないか

と、思います。

 

ちなみに。

平井大臣の言った「パスワードは電話で伝える」。

いかにも実務を知らない政治家の発言ですね。

そんな非効率なこと誰がするねん、と。

 

「大事な要件はメールでなく電話で伝えましょう」

「メールを送った後は、必ず確認の電話を入れる」

 

今の20代以下の方は信じられないと思いますが

 つい15年くらい前までは

これがビジネスマナーとされていたんですよ。

 

受け手の好きな時に、好きなペースで読めるし

記録もちゃんと残るメールよりも

何の記録も残らない電話の方が偉かったんです。

 

つい最近まで、そんな時代だった。

「パスワードは電話で」は

当時に戻れ、と言ってるようなものです。

大臣の発言がこれじゃあかんわなぁ…

合掌。