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田舎暮らしのメリット・デメリットについて、都会から田舎へUターンして感じたこと

私が住んでいるのは

人口10万人規模の街です。

それを田舎というかどうかは

人それぞれですが

ここでは

「田舎」を「都会」の対義語として

特に都会に暮らしている方が

気になっているであろうテーマを

語ってみたいと思います。

 

ちなみに私は

都会と田舎で暮らした期間は

ちょうど半々ぐらいです。

社会人になってからは

都会暮らしの方がやや長いです。

 

あくまでも個人的な主観ですので

その辺はご留意ください。

※2022/1/13

 全面的に加筆修正しました。

 

人付き合い

田舎も都会も、人間関係は面倒。

「田舎は人間関係が大変そう」と

よく言われます。

でも、田舎も都会も人間関係は面倒です。

 

田舎のほうが面倒かな、と思うのは

面識がある人との付き合い

取引先や、友人知人などから

「一回この業者使ってあげてよ」

とか

「今度○○さん紹介してあげる」

と言われてしまうと

会って話を聞かないわけにはいきません。

それが本当に面倒です。

 

反対に、都会のほうが面倒だと思うのは

面識がない人との付き合い

都会は、周りが知らない人ばかりだから

気を遣うことって多いですよね。

 

田舎だと、ご近所さんはみんな

名前まではわからなくても

ほぼ顔は見たらわかるレベルです。

これは防犯とか、災害時には

大きなメリットになると思っています。

 

情報

インターネットの普及に感謝。都会と差はない。

私はUターンしてきたのですが

本当にネットには助けられています。

ネットのおかげで、得られる情報に

都会と田舎で大きな差はありません。

 

昔は、世界情勢や流行の情報は

テレビや雑誌でしか

手に入らなかったわけです。

それが今は、田舎に住んでいても

簡単に手に入るようになりました。

 

ちなみに私は、田んぼに囲まれた家で

「Ollie」とか「カジカジ」とか

読んで、都会に憧れてた世代です。笑

 

インターネットは

東京や大阪を日本の中心地から

一つの観光地に変えてしまった

と言っても過言ではないでしょう。

「東京=TDL、大阪=USJ

という人が本当に増えましたもんね。

これは大革命です。

 

仕事

田舎にも仕事はある。でも飲食・宿泊・ITは注意。

「田舎暮らしは魅力的。

 でも、仕事はあるのか?」

Uターン、Iターンを考えている方が

一番心配なことかもしれません。

 

私の感覚としては

飲食・宿泊業と

情報通信業(IT関係)の仕事は

都会に比べると圧倒的に少ないです。

それ以外は、それなりにあります。

 

飲食や宿泊業は

人がいない/来ないと成り立たないので

人口が少なく、観光資源が乏しい田舎では

そもそも経営は難しいです。

 

IT関係については、

一般企業の数そのものが少ないことが

ネックになっているんだと思います。

 

大抵の企業は古くから付き合いのある

システム屋さんを持っているので

IT関連は、田舎では

新規参入が難しい業界だと思います。

ある程度、企業の数が多くて

かつ、新陳代謝が良くないと

成り立たない業種でもありますからね。

 

一方で、感覚的に

飲食・宿泊・IT以外の業種は

少ないとは思いません。

当然、人口や都市の規模と比例するものの

極端に少なくはないと感じています。

 

地方は慢性的に人手不足。

これは人口数万人レベルの

街だからかもしれませんし

地方全体に言えることですが

どの業界も、慢性的に人手不足です。

 

20代~30代であれば、どの会社も

喉から手が出るほど欲しがられます。

 

お金(収入)

だいたい、都会の2割減。

残念ですが、収入は少ないです。

特に、上場企業や大企業など

都会で待遇の良い会社に勤めていた方が

地方に移住される際には

生活レベルを下げる覚悟が必要です。

 

運よく、都会でのキャリアを

活かせる仕事を見つけられたとしても、

同じ仕事でも報酬は都会の2割減、

約80%に下がる

と考えていいと思います。

 

でも、その分

生活コストが安いかと思いきや

意外とそうでもないんですよね。

 

お金(支出)

支出総額は、意外と都会と変わらない。

生活費は、意外と都会と変わりません。

その原因として一番大きいのが

自動車関連の支出です。

 

自動車は大人1人につき1台。これが基本。

大人は1人1台、車が必要です。

田舎に引っ越してきた人で

「都会でも自転車で暮らしていたので

 大丈夫だと思う」

と言っていた人を何人か知っていますが

全員、3か月以内に車を買いました。

 

公共交通機関はほぼ死んでいるので

日用品の買い物はなんとかなっても

車がないと、病院にも行けませんし

レジャーは楽しめません。

 

「必要な時だけレンタカー借りれば?」とか

「カーシェアあるでしょ?」とか

言われることもありますが

駅前にしかレンタカー屋はありません。

そもそも駅までどうやって行くの?

 

ちなみに台数も少ないです。

GWやお盆、年末年始には

帰省時に使う方が多いため

なかなか予約が取れません。

 

あと、カーシェアについては、

そもそも

コインパーキングのない地域に

カーシェアはありませんよ。

車を置いておくところがありません。

 

シェアとかレンタルとかは

恐らく、これ以上は普及しません。

車は所有するのが当たり前、

ないと生きていけないレベルなので。

 

競争原理が働かない。だから物が高い。

そのほかには日用品、

飲食店やサービス業も高いです。

 

これらは競争原理が働く市場。

人口(購入者)が多い都会との差は

ある程度、仕方がありませんね。

 

例えば、特売をやるような

ドラッグストアがないので

トイレットペーパーとか歯ブラシとか

化粧品とか市販薬とかは

いつも、どこでも同じ値段で

都会で買うよりちょっとずつ高いです。

 

飲食やサービス業も

特別安い店はなく、大体横並びです。

また

このレベルでこの価格だと

都会なら半年もたないよな~

と思うような店が

なぜか人気があって

しかも、なぜか大きい顔をしている

というのも正直よく見かけます。笑

 

田舎は確かに家賃や駐車場は安いですが

車の維持費と、高い物価で

その差がほぼ埋まってしまいます。

これには、都会からの移住組の中にも

期待を裏切られた、と言う人が多いですね。

 

電車代も異常に高い。乗らないけど。

ちなみに都会から来た多くの人は

電車賃も異常なほど高いことに驚きます。

JR四国は大赤字ですからね。仕方ない。

 

JR高いね→車で行こうか→JR赤字

 →運賃値上→ますます乗らなくなる

という悪循環に陥っています。確実に。

 

自然

自然のためだけに田舎暮らしをする意味はある。

言うまでもありませんね。

最高です。

めちゃくちゃ身近に自然があります。

しかも、ほとんどがタダです。

 

車で片道2時間かけてキャンプに行ったり

電車で往復して日帰り登山に行ったり

していた私にとっては、今となっては

何の罰ゲームだったんだろう

と思います。笑

 

思い立ったら30分以内で

すぐに自然の中に飛び込める。

これは他に代えがたい喜びです。

 

あと、日頃から自然に触れる機会が

ものすごく増えます。

遊べる施設がほとんどないので

子どもと出かけるのも、大人同士でも

外で遊ぶことが多いです。

 

海・山・川に出かけたり

バーベキューをしたり

ただ、空や景色を眺めたり。

心も体も本当にすっきりします。

 

アウトドア派を自称する方が

田舎に住まない手はありません。

 

食べ物

素材は良いが、外食には苦労する。

これは、両極端です。

素材はめちゃくちゃ良いです。

が、外食には苦労します。

 

家庭菜園のレベルをはるかに超えた

セミプロみたいな生産者が

ゴロゴロしているのが田舎。

 

できたて、獲れたての農作物は

悲鳴を上げるほどうまいです。

野菜ってこんなに旨かったのか、と。

 

でも、上にも書いたとおり

飲食店自体が少ないので

良い店はなかなかありません。

 

あと、個人的に一番残念なのは

「イタリア料理食べたい!」とか

「メキシコ料理食べたい!」と

思っても

そもそも本格的な専門料理店は

市内に一軒もないので

食べられない

ということ。

 

イタリア料理大好きなので

これは非常につらい。

今や、出張等で都会に行った時の

楽しみになっています。

 

あと、お寿司とかてんぷらとかの

いつもよりちょっと贅沢な食事も

お手頃価格で美味しい店、

っていうのが少ない。

接待とかに使うような

いいお店は結構あるんですが。。

そこは非常に残念です。

 

必然的に、家飲みの回数が増えます。

 

教育

田舎からの、大学進学の形が変わった。

インターネットの進化で

大きく変わったのは大学進学でしょう。

 

私が高校生の頃は

大学の情報は、書籍やマスメディアから

仕入れるしかなかったので

どうしても

関東の情報に偏ってしまい

現に、関東の大学に進学する人が

結構な割合でいました。

 

さらに遡って義父の世代(70手前)は

情報自体がほとんど得られないことから

「親戚が行っているから」

という理由だけで、同じ大学に行ったという

嘘みたいな本当の話を聞きました。

 

それが現在では

「北陸にある大学では○○を勉強できる」

「四国から近い京阪神や九州がいい」

「難関大に行くよりも留学したい」

というような学生さんも増えています。

本当の意味で、進路は自由に選べる。

そんな時代になっています。

 

田舎の中学生、高校生にとって

進路の選択肢が広がったのは

すばらしいことです。

 

ただ、教育のレベルにはやはり差がある。

進路は自由になったとは言え

大学受験までの教育、

これはやはり都会の方が有利です。

 

田舎にも私立の進学校はありますが

通学できる範囲には

学校がないことが多いです。

 

子どもを通わせたい場合は寮に入れるか

家族揃っての引っ越しが必要かと。

多くの家庭にとっては

現実的ではないでしょう。

 

そのため、実態として

受験戦争的なものはほとんどなく

公立小学校から公立中学、

そして公立高校への進学が一般的です。

実際、私の住んでいる市では

95%くらいの子どもたちが

そういう進路を選びます。

 

学校名よりも、そこでの過ごし方が大事。

どの公立高校へ進学するのか

というのが、その後の進路には

大きく影響してきます。

 

もちろんどの高校を選んでも

本人の頑張り次第で

国公立大とか有名私大への進学は

可能だと思います。

 

これは都会も同じですけど

学校で学ぶ姿勢とか

どういう友達と一緒に過ごすかが

大事でしょう。

 

経済的にも都会の方が有利。

ちなみに大学も

通学圏内にはないことが多いので

進学する時は、一人暮らしが前提です。

 

経済的には非常に厳しくなるので

やはり何としてでも

国公立大へ行ってもらいたい、と

願う親御さんが多いです。

私自身も

「浪人してもいいから国公立で」

と言われていました。

 

昔より大学の門戸が広くなっていることは

地方にとっては、本当に歓迎すべきこと。

 

地方大学とか国立大学文系学部に対して

不要論とか、ふざけたことを

ぬかしている人もいるみたいですが

世間の実態を見てくださいね、

と思います。

 

育児

自治体によって大きく違うが、概ね環境はいいと思う。

育児については自治体によって

取り組み方が大きく異なりますので

断言はできません。

ただ、

子育て支援にはどこも力を入れている

と思います。

 

私の住んでいる自治体の場合、

高校生まで医療費は完全無料です。

これはかなり恩恵が大きいです。

 

保育園は、短期間に開発が進んで

人口が集中している地区以外は

ほぼ確実に、希望した保育園に入れます

これも、とても助かります。

兄弟で違う保育園に行かせないと

いけなくなることも、都会は多いので。

 

さらに

「地域子育て支援拠点」が

たくさんあって使いやすいです。

一時預かりもしてくれるので

保育園に入る前には

かなり活用させてもらいました。

 

他にも、エンゼルヘルパー派遣事業や

ひとり親家庭に対する医療費助成など

公の支援もたくさんあります。

この辺は、地方の強みかと思います。

 

企業の育児に対する姿勢は、かなり協力的。

そして何よりも大きいのが

育児に協力的な会社が非常に多い

ということ。

 

ただでさえ人口の少ない地方ですが

ここ数年、本当に人手不足は深刻です。

「女性活躍」とか「父親の育休取得」とか

口だけ、数値だけで言っても

地方では意味がないんですよね。

 

男女ともに、働きながら子育てが

できる環境が本当に必要なんです。

家庭も仕事も大事にしながら

ずっと健康に働いてもらわないと

会社自体が存続していけない。

そういう切実な事情があります。

 

ここ数年で法制度が

整備されたこともあると思いますが

少なくとも私の周りでは

マタニティハラスメントだったり

「子どもの行事に休めない」

「子どもが熱を出しても休めない」

といった、前時代的な事案を

聞くようなことはありません。

 

育児に関しては

地方ではホワイト企業でないと

生き残っていけませんし

「女は家事育児」的な考えの人は

老若男女問わず、本当に嫌われます。

 

医療

地方の医療は問題山積。

育児とは逆に、地方に大きく

デメリットがあるのが医療でしょう。

 

病院の数は、都会と比べるだけ無駄。

圧倒的に少ないです。

それなのに、いつ、どの病院に行っても

じいちゃんばあちゃんで一杯です。

少しでも評判のいい病院は

なかなか予約も取れません。

 

だから気軽に

ちょっと会社帰りに診てもらおうか

なんてことはできません。

病院に頼らなくて済む体を

作らないといけません。

 

現実問題、病院に行けなくなる日も近い。

また、最大の困難は

徒歩圏内に、病院がないこと。

昔は集落ごとに

診療所的なものがありましたが

それが軒並み潰れてしまいました。

 

さらに、バスを中心とした交通機関

年々便数が減って、今や壊滅状態です。

 

そんな中、コロナ禍で

飲食店がいじめを受けたせいもあり

タクシーもかなり減ってしまいました。

 

これは文字通り、致命的な事態です。

 

コンパクトシティ」という言葉が

流行して久しいですが

田舎に住む我々には

そんな金のかかる事業の実現を

待っている時間はありません。

 

夢のような話をしている間にも

病院に行けず死んでしまう人が

出てこようとしています。

 

早く自動運転車が開発されること、

日本でも早く白タクが解禁されて

UberやGrabのような

配車サービスが普及することを

心から願っています。

 

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これからも、気付いたことを

どんどん書き足していこうと思います。

田舎暮らしを考えているけど

不安も多い、という方に

リアルな声を届けられたら幸いです。