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家づくりについて:住宅ローン

今日の話題は、住宅ローンの考え方。

 

できるだけ頭金を入れて

借入額を少なくするのが良いのか。

それとも、できるだけ手持ちの

現預金を残した方が良いのか。

 

誰もが抱く疑問ですね。

 

答えは「その家や人の考え方による」が

正解なのですが、

それでは誰の役にも立ちません笑。

 

「家が欲しい、でもお金が心配」と

ぼんやり考えている方のために

FPの目線から

少し突っ込んで考えてみましょう。

 

最初に、お互いのメリットを確認。

双方のメリットを考えてみましょう。

 

できるだけ借入額を少なくする場合

金利が同じなら)返済総額が少ない

(月々の返済額が同じなら)返済期間が短い

(返済期間が同じなら)月々の返済額が少ない

 

できるだけ手持ち現預金を残す場合

もしもの時の備えができる

 

デメリットはメリットの裏返しなので

ここでは割愛します。

 

最低限、半年生活できるだけの現預金を残す。

これは、世の中の多くのFPさんや

金融機関の皆さんも

よく言っていることですが

現預金は残しておいた方がいいです。

最低限の生活で、半年、家族全員が

生きていけるだけの金額です。

 

現預金が少ないとどうなるか。

現預金がほとんど残らない状態で

家を買ってしまったら

不安で仕方ないと思うんです。

 

もし今、病気になったらどうしよう。

事故に遭ったらどうしよう。

そんなことがどんどん頭に浮かんできます。

でも、保険に入ると

さらにお金がかかってきます。

 

お金に余裕があると

発想が変わってくるんですね。

「これだけあれば、まぁなんとかなる」

と、いう感じです。

 

だから、家が潰れ、会社も倒産して、

命以外の何もかも失ったとしても

なんとか生き延びて

生活を再建できる額の現預金。

 

最低それだけ残せていれば

気持ちは多少落ち着くのでは

ないでしょうか。

 

あえて具体的な金額を書くとすると

1~2人の子持ち世帯で

200~300万円ぐらいでしょうかね。

 

この金額が残せないくらいカツカツならば

はっきり言ってローンを組むのは

お勧めできません。

もう少し頭金を貯めるか、

借入額を減らした方が良いと思います。

 

たくさんお金が必要な時はいつ?

では、人生の中で

一度にまとまったお金を使う時って

いつでしょうか。

 

一般的に想像できるのは…

 

・子の誕生

・子の入園入学

・子の受験

・子の独立(引っ越し、就職)

・子の結婚

・子の出産(孫の誕生)

・親の介護

・親の葬儀、お墓関係

・車の買い替え

・住宅のリフォーム

 

もっとあるかもしれませんが

大体、こんなもんでしょうかね。

 

上に加えて、予定はできないけど

起こることを想定して備え、

あるいは保険での補填が

必要とされているものがあります。

例えば、次のようなもの。

 

・盗難

・交通事故

・ケガや病気での入院、通院

・火災

・風水害、地震等の自然災害

・過失傷害

 

さらに、家庭・職場の事件も

一応考えておいた方がいいでしょう。

 

・転職

・離婚、別居

・リストラ、倒産

 

これらは保険がないので

自己防衛、

つまり貯蓄での備えが必要になります。

 

そして、最後。

 

・自身の死亡

 

自分が死んでしまうと

自身の負担は(当然)なくなるし

団信により返済の必要はなくなるから

いいじゃないか、という人もいますが

 

残された家族は

生活費に関する金銭的な負担に加えて

精神的な負担も大きくなります。

そこまで考えておきましょう。

 

返済期間はできるだけ長い方がいい。

人生、様々なイベントがあり、

様々なリスクがあることを考えると

私個人の見解としては

「返済期間は長い方がいい」

という考えに至ります。

 

金利がもったいないし

子どもにお金がかからないうちに

できるだけ早く完済してしまおう!

…という考え方を

否定するわけではありませんが

 

金利負担に気を取られ過ぎず

極力、完済のタイミングは

先に延ばしておく。

つまり

完済時期は、身体の衰えが見えたり

働けなくなったりする年齢に

近ければ近いほどいいのではないか

と思います。

 

毎月の返済額と、完済時期は無理のないように設定する。

完済時期を延ばすと当然、

返済総額が増えてきます。

 

毎月の返済額については

ざっくり言うと

 

今までの賃貸住宅の家賃
  +
住宅購入のために毎月貯蓄できていた額

 

大体、この額になればOKです。

(注:ボーナス払いは使わない)

 

固定資産税や修繕費など

これよりも多少

かかる費用は上乗せされますが

住宅ローン減税と併せて考えると

無理なく返済できる額のはずです。

 

この時、完済時期はどうなるでしょうか?

何歳まで仕事をしたいか、

自分のライフプランを

考える必要はありますが、

健康寿命」は男女ともに約70歳。

 

もし完済時期のシミュレーションが

70歳を超えるようであれば

もう少し、頭金を増やしても

いいかもしれません。

 

目的のない貯蓄は無意味。タイミングを見て繰上返済を。

ただ、使う目的もないのに、やみくもに

現預金の貯蓄を増やすのは無意味です。

 

急に「お金が必要だ!」となることは

時々あるかもしれません。

 

ただし、子どもが外国の大学や

私立大学の医学部に進学する、

といったことがない限り

1千万、2千万円という額が

一度に必要になることは

ほとんどありません。

 

その場合は事前にわかるはずなので

予め準備ができていると思います。

 

なので、ある程度

現預金が貯まってきたタイミングで

繰上返済をすべきでしょう。

 

返済に充てず、投資をするのはNG?

繰上返済に充てず、

株や投資信託を買うのはどうか?

こういう質問もよく聞かれますね。

 

確かに、ローンの金利が低い場合は

繰上返済に充てるのならば

低リスクの投資信託を買って

ローン金利を超える運用利回りを

狙ったほうがいいんじゃないか?

そう思う気持ちも理解できます。

 

ただ、基本的な理解として

株や投資信託などの金融商品

元本割れする可能性があること

を忘れてはいけません。

 

また、ここ何年か

株価は上がりっぱなしなので

忘れがちですが

まだ90年代のバブル期の水準には

戻っていないんです。

下がる時はとことん下がります。

 

また、大多数の人が

現金を必要として売りに走る時、

つまり

災害発生時や不景気の時は

金融商品は大きく値下がりする

可能性が特に高い

ということに注意が必要です。

 

現預金は多ければ多いほど安心できる。

これは間違いないです。

 

少し余談になりますが…

日本の家計金融資産は

欧米に比べて現預金比率が高い

という事実を

 

日本は金融リテラシー教育が

欧米に比べて遅れている

という事実と並べて

あたかもそれが悪いことのように

語られることがあります。

 

でも、決して

「現預金比率が高い=悪」

ということではありません。

 

日本は、自然災害が多い国なので

もしもの時に備えて

現預金比率を高めておくことは

合理的だと思います。

 

リスクに備える資産としては

現預金で持っておくのが無難です。

金融商品は、あくまでも

「お金を育てる」目的で持つものとして

考えた方がいいでしょう。

 

私の意見をまとめると。

手持ちの現預金は

極力残した方が良いと考える。

 

ただ、そうすると

返済総額が増えたり

返済期間が長くなったりするので

毎月の返済額と完済年齢に

無理のないように調整する。

 

金融商品は、リスク発生時に

値下がりする可能性が高いため、

最悪のリスクに備えた

最低限の資産は現預金で持っておく。

 

最後に。

上記の、私のお勧めする

住宅ローンの組み方は

金利を気にする方には

難しいのではないかと思います。

 

でも、金利

「リスクを最大限に考慮しながら

 ストレスなく生きるための必要経費」

と捉え直してみると

少し考え方が変わるかもしれません。

 

何かの参考になれば幸いです。