家づくりについて:外構・造園
今回は外構・造園のおはなし。
実は私、外構工事を請け負う会社に勤めたことがあるんです。なので、ちょっとだけ詳しく。
外構の予算について。
費用や固定資産税の問題から、外構や庭は後回しにするお宅が結構多いようですね。予算の建て方として一番多いのが…
1.家づくりの総額を決める。
2.家本体にいくらかかるかは、それまでの仕様検討次第で変動。
3.余った額を外構費用とする。
こういう予算の立て方をするお宅がほとんどじゃないかと、うちがお願いした外構屋さんも言っていました。
外構は、家の印象を決める。
ところで、外構工事に伺うと、家はすごく立派なのに、え?工事はポストと門柱とフェンスだけ?とか、お庭全部砂利敷きでいいんですか?というお宅が、少なからずあります。
どこにお金をかけるか、力を入れるかは、人それぞれです。でも、外構がちゃんとしていない家を見ると、なんとなく残念な気分になりますし、締まりがない気がします。
せっかく素敵なお家なんですから、できれば、初めからある程度は外構予算を取っておいて欲しいし、プランニングから外構や造園の専門業者に任せて欲しい、というのは、業界の中の人としての希望でもあります。
外構にはいくらぐらい予算が必要なのか。
では、実際にいくらくらい外構の予算を見ておけばいいのでしょうか。
ネットでよく見かけるのは「住宅建築費用の10%が目安」というもの。実際にうちが建てたハウスメーカーの営業さんも「資金計画にはまず建築費用の10%を入れる」と言っていました。
でも。
住宅建築費用の10%という数値には、全く根拠はありません。
だって、住宅建築費用は設備や仕様次第でいくらでも変えられますから。
実際の予算感として、かなり参考になるサイトをご紹介しておきます。ガーデンプラスさんのHPです。
施工事例の写真と一緒に、金額目安が出ています。これを見ると、フェンスやカーポートといった物「本体」の値段よりも、「どういう土地に工事をするか」の方が、費用には大きく影響してくるというのがよくわかります。
費用よりも、考えるべきことがある。
費用を抑えることも大事ですが、外構を考える上でもっと大事なのは「メンテナンス性」です。リフォーム・リガーデンの依頼で個人的につらいなぁと思うのは
・草むしりが大変なのでコンクリにしたい
・剪定が大変なので木を撤去したい
というご依頼。
新築の頃は、たぶん草木がきれいに植えられていたんだろうな…などと思いながら、お庭や花壇を潰す工事をするのは、複雑な気持ちになります。
(お仕事もらえるのは嬉しいけどね)
なので、私はコストよりも、見た目よりも、「メンテナンス性」を最重要視すべきだと思います。この話は長くなりそうなので、また別の記事にしましょう。
※別の記事、書きました。
外構はどこに頼むべきか。
さて、ここからは実際の工事について。外構はどんな業者に頼むべきか。大きく2つの方法があります。
①ハウスメーカーの提携業者に頼む
まずハウスメーカーからほぼ100%提案されるのは、提携業者に外構工事を頼むという手段。これを採用する最大のメリットは、建物も、外構も、すべて完成した状態で住み始めることができるということです。
引き渡しのその日から、駐車スペースに車を停め、ガーデニングを楽しみ、ウッドデッキで憧れのBBQができる。これは大きなメリットになります。
というのも、一般的な契約では、住宅の引き渡し前に建物に傷が付いた場合、これを修理する責任はハウスメーカーに生じるんですね。そのため、引渡し前には、ハウスメーカーと提携している業者以外は、原則として敷地内に立ち入らせてもらえないんです。
一方、デメリットとしては、余計な中間マージンを取られるということが挙げられます。外構工事まで請け負う住宅メーカーというのは、ほぼありません。そのため、提携業者に投げることになるんです。ということは、マージン(仲介手数料)を取られる。
あくまでも私個人の感覚ですが、大体10~20%ぐらい割高になると考えてもいいでしょう。
あと起こりうるデメリットとして、提携業者のセンスがクソ、というのは外構あるあるです。せっかくデザインを練りに練って素敵な建物を作ったのに、なんだこのバブル期真っ只中のようなアプローチは…という現場はよく見かけますね笑。まぁ住む人が満足しているのであれば別にいいんですけど。
②自分で探した外構業者
HMの提携業者に頼まないとなると、自分で外構業者に依頼することになります。
この場合のメリットとしては、自分のイメージに合った業者さんに作ってもらうことができるというのが第一に挙げられます。
外構工事の「見た目の」良し悪しはエクステリアプランナーの腕にかかっていますし、「技術的な」良し悪しは、職人の腕にかかっています。今はネットで色々口コミを見ることができるようになっているので、本当にシビアです。消費者にとっては嬉しいですね。
また、相見積もりを取って価格交渉もできるので、納得のいく金額で工事ができるというのもメリットです。
一方、デメリットとしては、原則として住宅引き渡しの後にしか工事ができないことです。
工事期間中、車を持っている方は駐車場を別に借りる必要がありますし、アプローチが歩きにくい、インターホンが使えない等々、生活が不便になります。
私は自分で探した外構業者に依頼をしました。駐車スペース工事中の約2週間は、自治会にお願いして、自宅から少し離れた集会所に車を停めさせていただいていました。駐車場を借りずに済んでラッキーだったのですが、これはおそらく田舎だからできたこと。都市部では月極や時間貸しの駐車場を借りる必要があると思います。
住宅メーカーに頼むのと、自分で専門業者に頼むのと、どちらにもメリットがありますので一概にどっちがいいとは言いづらいです。
予算の都合と入居のタイミング、あとはどこまで外構デザインにこだわるかによりますね。
必ず「会社」に依頼しましょう。
一つだけ言えるのは、外構・造園工事は専門業者に頼む。個人でやっているような職人さんに頼むべきではない。ということです。もちろん、私の勤めた会社のように、外構工事を請け負う「企業」であれば大丈夫です。
個人でやっている職人さんは細かい要望を聞いてくれて融通が利きますし、価格も当然安く仕上がることが多いです。
ただ、一言で外構工事と言っても、コンクリート敷、石積、植栽、ブロック積み、フェンス、物置、等々いろいろなジャンルがありますし、実はそれぞれに専門職がいるんです。それだけ、深いノウハウがあるということです。
ここで強く警鐘を鳴らしておきたいのは、特にブロック塀に関して。
法令違反、条例違反を犯し、安全性に問題がある積み方をしている現場を時々見かけます。もし、違法な積み方で倒壊して、仮にそれでケガや物損を起こしてしまった場合、施主が責任を取らなければなりません。
以下、ご参考です。
大阪北部地震の高槻市のような痛ましい事故を二度と繰り返さないためにも必ず、専門業者に依頼してください。これは本当にお願いします。
あと、植栽についても、できれば造園業者にお願いしてください。
私が今まで見た中で一番ひどかったのは、ただ穴を掘って、木を植えただけという現場。2か月後に来た台風で、シンボルツリーが根こそぎ倒れました。
話を聞くと、親戚や近所の職人・元職人の方が「植栽もついでに安くやってあげる」などと好意で言ってくれることも結構あるみたいです。が、やんわりお断りした方が良いでしょう。その道のプロに頼むのが一番です。
エアコン工事と外構工事のタイミング。
あまり知られていないのが、エアコン工事と外構工事の関係です。
一般的には、エアコンは外構工事が終わってから、というのが定説です。室外機を動かすと、ガス漏れを起こす可能性があるからなんですって。
ただ、これに関してはひとこと言わせて欲しいです。外構業者もプロですし、リフォーム・リガーデンの現場では、室外機を動かすのは日常茶飯事です。ガス漏れを起こさないように、細心の注意を払って作業します。
ただ、やはり室外機は一度設置したら、原則には動かすものではありません。エアコンは、外構工事の後で設置するのに越したことはありません。
エアコンを外構工事よりも前に設置したいなら、そのことをエアコン設置業者、外構業者のどちらにも伝えておく…という程度に意識していれば良いのかな、と思います。どちらもプロですから、極力リスクを減らす方法を提案してくれるはずです。
土間コンクリートが固まる時間。
外構で気になるのが、駐車場やアプローチの土間コン工事だと思います。コンクリートを敷いてから何日後に車を乗せていいのか?結局、何日停められないのか?
これは話すと長くなりますし、リアルの世界でも自称コンクリート専門家がたくさん出てきて、マジで面倒くさいので笑、業界内の一般論(絶対安全な日数)だけお伝えしますと…
車を乗せていいのはコンクリート打設から最短でも1週間後。できれば10日間は養生する。と、考えておいたらいいでしょう。これより短くても、目に見えるトラブルはありませんし、もっと長く養生期間を取った方が安全なのは確かです。でも、一般論として10日は空けましょう。
おわりに。
いやいや、もっと色々書きたいことがあります。また、まとまったら追記します。
とにかく、外構を考えるのは楽しい!完成した姿を見るのは(個人的には)家本体よりも外構の方が楽しい!と、強く叫んでおきますね。
レッツ楽しい庭づくり!