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家づくりについて:物置は国内大手メーカーのものを買うべき、という話

家を新築、引っ越して早1年。ようやく物置を建てました。やっぱり便利ですね、物置。

 

以前書いたのですが、いま私が勤めている会社は物置設置のお仕事もやっています。私も一応プロですので、物置選び、建てる時のコツや注意点を書いてみます。

まずは物置は国内大手メーカーのものを買うべきというお話です。

 

国内大手メーカーとは。

国内大手メーカーは3社あります。

まずはご存じ「100人乗っても大丈夫」、イナバ物置稲葉製作所

少し前ですがSNSで大雪の写真が話題になりました。さすがイナバ、頑丈さは折り紙つき。

maidonanews.jp

 

次に、鉄鋼メーカーの淀川製鋼所ヨド物置という商品名で売っています。

少し前まで杏ちゃんがCMに出てました。ちなみに物置とは直接関係ありませんが大阪駅の大屋根はヨドコウ製です。

www.yodoko.co.jp

 

そして、前の2社に比べると知名度は低いですが、愛媛の老舗メーカー、田窪工業所のタクボ物置。

価格と品質のバランスに定評があり、ホームセンター大手のコメリコーナン等のオリジナル物置は実は田窪工業所製だったりします。

www.komeri.com

 

悪いことは言いません。この3社のどれかを選びましょう。

 

なぜ大手メーカー製を選ぶのか。

理由は簡単です。

圧倒的な施工実績があるから

 

皆さん、ご存じでしょうか。年間の物置の販売台数。その数、なんと約50万~60万台だそうです。

そして、このうちの約7割が上記の3社の製品だそうです。これ、累計販売台数じゃないですよ。この3社は毎年10万台以上の物置を建ててるんです。実績が桁違いです。

 

友人知人から聞かれるんですけど。

たまに「○○っていう物置知ってる?実際あれってどうなん?」って、いろんなメーカー、ブランドの物置の良し悪しを、人に聞かれることがあります。が、正直に言いますと「わからん」笑。

なぜならほとんど建てる人がいないからです。

しかも、わざわざ建てた後のお客様からその使い勝手がどうだとか、報告してもらうわけでもないですし、5年、10年もつかどうかなんて、はっきり言ってわからないんです。

一方、大手メーカーは施工実績が多いので、他の工事やメンテナンスでお客様のお宅に伺った時に、色々見ることができるわけです。だいぶ古いの使ってるけどまだまだ大丈夫そうやな~、とか、ここから錆びることもあるんか~、とか。

だから、アドバイスもできるんです。

屋外収納とは言え、大事なものを入れる箱であることは間違いない。はっきり言っておきましょう。国内外問わず、よく知らないメーカーの物置を買うのはお勧めしません。

 

最も厄介な事故は雨漏り

国内製であれば、大体どのメーカーも耐震や耐候はそれなりにしっかりしています。ただ、厄介なのが雨漏りなんですよね。収納物が濡れてしまっては、物置の意味がありません。

日本は、非常に雨が多い国です。もちろん外国だって雨は降ります。でも、日本のような厳しい気候はなかなかありません。

・1ヵ月間、昼夜問わず雨が降り続ける

・山が崩れ、町が浸かる程の雨が時々降る

・かつ、台風が頻繁に来る

・そして、年間の気温差が30度を超える

・おまけに雪が降る

こんな国、普通に考えたら屋外収納作ろうというのがおかしい笑。とにかく、安い海外製の物置はお勧めできないということは分かっていただけると思います。

 

一方、高ければ安心、日本製であれば絶対安心、というわけではないんです。

「大手メーカーの物置はみんな同じ形で面白くない、ダサい」と言う方が時々いらっしゃいます。が、同じ形になる理由は、雨や風に強く、気温の変化に強いからなんですよね。

そこを理解して欲しいなぁと、エクステリア業界に入ってたった数年で、悲惨な雨漏りを何十件も見てしまった、業界の中の人としては思います。

 

ちなみに「気温の変化って関係あるの?」と思われるかもしれませんが、大半の国産物置は鋼製、つまり鉄の板でできています。鉄板ですから、気温の変化で伸縮します。

鉄板が薄かったり、金属加工の精度が低かったりすると、本体の歪み、部品のガタつき、ネジの緩み、塗装の劣化が起こります。

板厚は厚ければ厚い方がいいし、パーツはシンプルな構造で、数は少なければ少ないほど良いのは間違いありません。

「せっかくだから、オリジナリティのある物置を建てたい」とか「他のお宅とは違う物置を建てたい」と思う気持ちはよくわかりますけど、世の中の物置がほとんど同じ形をしているのには、ちゃんと意味があるんです。

そこは、難しいところです。

 

物置に見た目の変化は必要ないと思う

以上を踏まえて、これは個人的な意見なのですが、物置は見た目の変化よりもシンプルを追求すべきだと思います。

これは日本の物置業界全体の悪しき慣習なんでしょうけど、各メーカーは、カラーバリエーションを増やしたり、扉に木目を付けたり、絵を描いたり、屋根や取っ手を変わった形にしてみたり、凸凹で陰影をつけてみたりと、そういう方向でオリジナリティを出そうとしています。

でも、ちょっと待ってよ、と。そもそも、物置を家の前面に出して目立たそうとする人はいないでしょう。

だって、物置ですよ?

絶対に、家や外構の主役になることはありません。極力、箱に近いシンプルな形状で、色も単色の方がいいと思うんです。

 

ただ、色は外壁に合わせて選べるようにして欲しい。多くのメーカーが採用しているグレーとベージュだけでは、今時の住宅の外壁すべてにマッチしなくなっていますからね。大手メーカーには、いい加減この事実を認識してもらって、商品開発を頑張ってもらいたいです。

 

大手メーカーでシンプルな物置を。

まぁそんなこんなで色々書きましたが、結局は

大手メーカー製の、極力シンプルな物置を建てるのが見た目もいいし、お手頃価格で安心安全、性能も優れている

ということです。

もちろん、お金をかけて造作で物置を作ることは可能ですが、フェラーリみたいに高価な車を収納するわけでなければ、たかが物置、たかが屋外収納に何十万もかける必要はないと思います。

 

やっぱりエクステリア系の話は熱が入ってしまいますね笑。次回は物置の収納術について書こうと思います。