転職相談の実例メモ
前にも書いたのですが、私は転職を3回しています。
田舎在住のサラリーマンとしては、40手前で正社員を3回転職しているというのは珍しいこともあって、転職の相談を受けることが時々あります。
どういう相談をされて、どういう答え方をしてるの?
と、聞かれることも多いので実例を書いてみます。
※以下、プライバシー保護っていうか身バレ防止のため、多少フィクションが入ります
この度、相談を受けたのが以下の二人。
①大卒、入社2年目の正社員Aさん
②高卒、入社15年目の正社員Bさん
①入社2年目Aさん
転職動機:給料が安い、休みが少ない、会社に将来性がない
ひとり暮らしがしたい。
いまは実家暮らしで、規程上、会社の寮には入れないので、アパートを借りて住みたいと思っているが、自動車維持費を含め、今の給料で生活費をまかなうのは厳しい。
大学の同期の友達に聞くと、当社は休日も給料も少ない。この待遇ではとてもじゃないが、ひとり暮らしでは生活していけない。
また、設計の技術が身に付くと思ってこの会社に入った。
でも、新規開発案件はほとんどないし、日々の業務が忙しすぎて、あまり勉強ができない。
さらに、人口減少の世の中で、当社の商品が売れ続けるとは思わないし、競争は一層激化し、厳しくなっていく。
自分も会社もこのままでは明るい将来が見えない。
私が言ったこと
まずは、自分の問題と、会社の問題を切り分けることが必要。
話を聞いていると、Aさんは
自分の問題と会社の問題が整理できていない
ように感じます。
ひとり暮らしについて。
必要な生活費は個人個人で違うので何とも言えません。ただ、当社の給料水準は、ひとり暮らしができない額ではないと思います。というのも、現に独身寮を出て、自分でアパートを借りている若手従業員も複数名いるからです。
ひとり暮らしをするには、節約が必要になってきます。実家住まいだと給料の大半が自由に使えると思います。が、今までどおり車を維持したままひとり暮らしをすると、恐らく、毎月、手元にはほとんどお金は残りません。
シミュレーションなしに生活はできません。まずはAさんが必要な生活費をきちんと計算し直してみて、どこを削ればやっていけるか、考えてみてはいかがでしょうか。
給与と休日について。
会社側は採用時に条件を提示しています。そして、提示した条件どおりに会社は給与を支払っています。今年度は、年間休日は2日増えましたし、1万円近く昇給もしているはず。
条件を理解して入社したはずなのに入社して2年目で「給料が少ない、休みが少ない」と思った理由はなんでしょうか。
生活費が想像以上にかかっているのか、それとも休日出勤が多いのか。とにかく、何か当初の計画通りにいっていないところがあるはずです。そこをじっくり考えてみてください。
その結果「やっぱり今の給与額や休日数では満足できない」という結論が出たのであれば会社を変えるべきです。
特定の社員だけ給料を上げたり休みを増やしたりすることは平等性の観点から、できません。
待遇に対する不満の解決方法は、転職しかありません。
ただ、私個人的な印象ですが「隣の芝生が青く見えている」のではないかと。Aさんの大学同期の友達の待遇がよく見えているだけではないですか。
また、人口減少は社会の問題であって、会社の問題ではありません。日本国内で商売をする企業である以上、人口減少問題は避けることができません。さらに人口減少が、業績にプラスに働く会社は日本にはほぼありません。
最後にひとつ、間違ってはいけないのはAさんの将来のための勉強、Aさんが足りないと思う能力を伸ばすための勉強は、Aさんが自分自身で考えてやらなければならないことです。会社が何かを与えてくれると思っていてはいけません。
自分の努力でどうにかなる部分とどうにもならない部分をまずは整理することをお勧めします。
・給料はいくら欲しいのか
・休みは何日欲しいのか
・どういった仕事をしたいのか
・会社の将来に何を求めるのか
といった、Bさんの希望を整理してからの方が、転職活動を行うにしてもうまく進められると思います。
②入社15年目Bさん
転職動機:自分の力を試したい
高卒で入社してから一生懸命勤めてきた。会社の仕事はもちろん、資格取得もがんばってきたし、人間関係の構築にも努力した。
その甲斐あって、史上最年少クラスの若さで課長に昇格することができた。責任ある仕事を任されるようになったが、そつなくこなせていると思う。
今の仕事に大きな不満はない。
上司の仕事の進め方と自分の意見が合わないこともあるが、評価はしてもらっているし仕事が楽しいと感じることも多い。
ただ、この会社に貢献したい気持ちはあるが、それ以上に、一度外に出て自分の実力を試してみたいという気持ちの方が今は強くなっている。
もっと大きい仕事、責任のある仕事を任せてもらえる会社でバリバリ働いてみたい。
ちなみに、給与や休日の待遇に不満がないかと聞かれると、まったくない、というわけではない。
私が言ったこと。
もっと自分に正直になってもいいのでは。
Bさんは着実にキャリアを積み重ねています。同世代では断トツの昇進スピードです。間違いなく、会社の期待の星であり、幹部候補の最有力者です。
そんなBさんが「仕事が楽しい」とはっきり言えるのはとても幸せなことだと思います。世の中の大半の社会人は「仕事は楽しくない、憂鬱だ」と思いながらも、収入のために自分を抑えて働いていますから。
今のところBさんには、何も問題がなく、当面の未来も明るい道が開けているように思います。
それなのに、どうして転職を考えたのでしょうか。実は他の理由があるのではないですか。私は上司でも何でもないし、これが評価に繋がるわけではないので、正直に話してもらっても構いません。
Bさんが言ったこと。
そう言われて考えてみると、待遇が理由かもしれない。
当社は、課長になったところで年収は○百万円程度。一方、都会の同業他社では課長クラスになると当社プラス2百万円は貰えると聞く。
今、生活に困ってはいないし誰かと収入を比べたいわけでもない。ただ「他の会社なら、いくら貰えるんだろう」という好奇心と、もっと単純に「たくさん貰えたら嬉しい」という気持ちはある。
あと、高卒で入社して今まで一筋でやってきたが、転職というものを一度は経験しておきたいという気持ちがないわけではない。
高校時代の友人たちは既に転職経験者が多い。自分が井の中の蛙になっていないかというのは常に意識しているつもりだが、「井戸の外側にも世界がある」というのを実際に見てみないと、と思っている。意識だけでは難しい。
私が言ったこと。
転職エージェントに登録して、自分の市場価値を客観的に測ってみては。
会社の経営的には、是非ともBさんに、このまま残って欲しいだろうと思います。
もちろん私も、同じ気持ちです。Bさんのような優秀な人とこれからも一緒に仕事がしたい。
ただ、それではBさんの気持ちがモヤモヤしたままだと思いますので、まずは転職エージェントに登録してみてはいかがでしょうか。
履歴書や、職務経歴を公開して他社からどれくらいのオファーが来るのか試してみるべきだと思います。Bさんは15年間、専門職として会社一筋で勤めてこられました。実務経験も豊富で、技術資格や免許も多く持っています。その時点で間違いなく高い評価を得られるでしょう。
実は、前の会社の役職・肩書は転職市場における評価にはあまり影響ありません。役職がついてから、どんな仕事をしたのか、どう会社に貢献したのか、というところを見られます。もちろん、学歴もほぼ役に立ちません。
その点でも、Bさんは高卒とは言え、数年にわたる部下のマネジメント経験がありますので、かなり高い評価を得られるのではないでしょうか。
ただ、転職というのはタイミングです。
良い会社がいくら募集をかけたとしても、良い人が転職市場に出ていなければマッチングは起こりません。
その逆も然り。良い人が積極的に転職活動をしていても、欲しいという企業がなければ契約は成立しないわけです。
今の会社を辞めてからでないと転職活動をしてはいけないというルールはありません。
特に、今の仕事が楽しくて、待遇にも不満がないのであれば、尚更、すぐに辞めなくてもいいと私は思います。
ですので、まずは転職エージェントに登録してプロフィールを公開しておきましょう。実際に、気になる企業から条件の良いオファーが来たら面談してみましょう。企業側とじっくり話をした上で、その時の気持ちで転職するかどうかを考えても良いと思います。
私の気持ち。
いかがだったでしょうか。
結局、二人とも退職はしていませんが、Aさんの方は、なんとなく年内いっぱいぐらいで辞めてしまうかな…といった感じ。
私自身、ひとつの会社に長くいるつもりはありませんし、終身雇用とか年功序列とかマジでクソみたいな制度やな、と、昔からずっと思っています。なので、どうしても転職希望者側の立場に立ってしまいます。
会社からしてみたら、おい!なに余計なこと言うとんねん!という感じかもしれませんがねw
転職はリスクが伴う
でもね、やっぱり、転職には一定のリスクがあります。
転職先が、今より良い会社かどうかなんて、募集広告を見て、2、3回面談したぐらいじゃわからないわけですよ。
会社が自分に合う、合わないは、肌感覚みたいなものもありますし。
私が前に勤めていた会社は、東証プライム上場、従業員数千名を抱える大手企業で、世間的には超絶ホワイトに分類される会社でしたが、私にはその仕事の進め方が合いませんでしたし。
そんな感じで、部外者には責任が取れないので、気軽に転職は勧められません。いつもニュートラルな気持ちで、相談に乗るように心がけています。
もう決意が固い人に対しては、思い切り背中を押しますし、決意が弱い人には、もう少し思いとどまるように話します。
我慢できないほどのストレスとか不満がないのであれば、今の環境を受け入れて、環境に自分を合わせていくというのも、自分の成長には不可欠だと思いますしね。
だらだらと書きましたが、何かの参考になれば幸いです。