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「伊藤レポート」という名称に抱くちょっとした違和感

ちょっと前になるのですが、経済産業省は2022年5月に「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書」を公表しました。

「人材版伊藤レポート2.0」と言われるやつです。

 

なんで人の名前?

中身に入る前に、私、いまだにこの名称に慣れません。個人名の付された報告書というのは、珍しいこともあり、違和感を抱きます。

なんでこんな名前が使われているのか調べてみると、イギリスにはJohn Kay氏のまとめた「Key Review」というのがあって、これのパクリである、という説が正しそうです。

 

「伊藤レポート」は正式名称。

で、よく「いわゆる伊藤レポート」とか「通称伊藤レポート」とか書いている書物や文献をよく見かけるんですが、2014年に出された元祖・伊藤レポートである「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクトの
最終報告書にも「伊藤レポート」と、はっきり書かれています。

今回の報告書のタイトルにも「人材版伊藤レポート2.0」とサブタイトルとしてわざわざ銘打っているし、経済産業省のサイトにも公式に使われてますね。

www.meti.go.jp

 

責任逃れ?

さらに、レポートの冒頭には伊藤邦雄氏の肖像がでかでかと貼られています。怪しい通販広告によく書かれている…

「個人の感想であり、効果には個人差があります」

のような感じで、「このレポートの内容は、あくまでも伊藤先生の意見です」みたいな弁明に見えて仕方がない。

間違ってても役所は悪くないからね、と。

 

多様性に逆行してるでしょうよ

元祖「伊藤レポート」がそこそこ世間から評価されたからって、「伊藤レポート」を乱発するのは良くないと思います。

何より、ある特定の個人を座長とした公的な研究会やプロジェクトをいくつも立ち上げること自体、多様性に逆行してるよね、と軽く突っ込みたくなります。

内容はこれから読み込んでみます。