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『人を動かす2──デジタル時代の人間関係の原則』(D.カーネギー協会編、片山陽子訳、創元社)読了

コロナ禍ですっかり引きこもり、本の虫。

 

私は、数年前から

タイトルと著者は知ってるけど

自分では読んだことのない

「名著」を読む活動

をしています。

 

サンデル教授とか

aporia.hatenablog.jp

 

最近では川端康成『雪国』とか

 

谷崎潤一郎春琴抄』などを読みました。

 

で、今回は『人を動かす』を読みます。

自己啓発書の元祖」と

称されることも多い著作です。

 

内容はある程度は知っているし

もしかしたら読んだことあるかなー?

という本なのですが

 

責任者としての立場にたつことも

最近は多いので

改めて読んでみましょう、と。

 

しかし、最寄の図書館では

運悪く貸出中だったため

「D.カーネギー協会」という組織が

出した続編である「2」を

読んでみることにしました。

 

Amazonレビューがイマイチやけど

大丈夫かなぁ?

という不安を抱えつつ。

 

まず出版日にびっくり。

読み終わってから裏書を見ると

「2012年11月10日 第一版第一刷発行」

とな。

目を疑いました。

 

原著は2011年に出版されてます。

もう10年以上前ですが

つい先週に発表された本かと思うほど

内容は今にも通じます。

 

読むべきは「人を変える八原則」。

本著で、目を見張るのは

PART4の「人を変える八原則」です。

 

2022年、現代の自己啓発本には

記述が欠けていることの多い

「あんたの言いたいことはわかった。

 ほな、具体的にどないしたらええねんな」

という問いに

しっかりと答えてくれています。

 

命令せず、質問する

特に「命令せず、質問する」という

原則は、とても勉強になります。

 

命令するかわりに質問し、意見を求めることは(中略)創造性を刺激して、問題に革新的な解決法を見出させることが多い。人は道を切り開くことに自分が参加したと思うと、たいてい喜んでその新しい道をたどるものだ。(p.266)

 

なるほどなぁと思いましたね。

昔の上司がこういう人でした。

 

ミスをした時、上手くいかなかった時

叱られるのではなく

なんでミスしたんやと思う?

なんで上手くいかなかったんかな?

次はどうすれば上手くいくやろ?

と私に問い、

私と一緒に考えてくれていました。

 

色々と意見を出し合って

解決策が導かれたとき、

二人で喜び、次は絶対うまくいくぞ!

よし、飲みに行こう!と。笑

 

失敗してこういうことになってるのに

なぜか最後には前向きな気持ちに

させてくれる人でした。

 

で、二人で決めた解決策なので

また失敗するわけにはいかない、ではなく

絶対に成功するに違いない、という

気持ちになっていました。

今思うと根拠は薄いのに

なぜか自信を持つことができていました。

 

今思えば、この上司のもとで

たくさんの失敗をさせてもらいましたが

ほとんど責められたことはありません。

(何回かはあるけどね。笑)

 

良い上司だったなぁと

10年近く経った今でも思います。

 

チームで仕事がしたくなってくる。

私は今、部下はいません。

部署内のメンバーは数名いて

それぞれに緩やかに繋がりはありますが

仕事はほぼ個人プレイです。

 

まぁそれはそれで気楽でいいのですが

この本を読むと

また昔みたいに、がっつりと

チームプレイをしたくなりますね。

 

人が上手く動き、組織が上手く回ると

3人、4人のチームで

5人分、10人分の成果が生み出せます。

そして

上手くいったときの喜びも

成果と同じくらい膨れ上がります。

 

ちょっと、部下が欲しくなりますね。笑

 

おわりに。

読む前は

「どうせカーネギーの名著の焼き直し」

と、甘く見ていましたが

なかなかに響きましたね。

 

85年前に書かれた『人を動かす』も

今に通ずる普遍的な内容らしいのですが

 

それをSNS時代の現代に

わかりやすく書き換えた本書は

もしかしたら『人を動かす』を読むより

私たちにとっては想像しやすく、

理解しやすいのかもしれません。

 

自己啓発本の類に慣れていない方でも

楽しく読める本だと思います。

古典はしょせん古典だろ、と

古い本に抵抗のある方も

本書をぜひ読んでいただきたいです。

 

「いい本もあるんだなぁ」と

思える良書でした。星4つ。