Aporia

ブログ移転しました。

規程を見直す時の8つのポイント

「社内規程の改訂(改定)」というのは

経営管理を行う上で、重要な業務の一つです。

でも、滅多に改訂されないものです。

(面倒くさいしね)

 

いざ上場準備で

証券会社にチェックを受ける直前に

「えっ、規程どうなってたっけ?」と

見直すことが多いものです。

 

でも、そのタイミングではもう

手遅れであることが多いのも事実。

 

「うちの規程は社会保険労務士

 チェックをちゃんと受けてるから大丈夫」

「つい何年か前に整備したばかりだから

 法律にはきちんと沿っていると思いますよ」

 

こう思っている方もいるかもしれませんが

私の過去の経験上、コンプライアンス的、

ガバナンス的に、修正すべき条文が

全く見つからなかった会社はありません。

それは、上場企業でも然り。

 

EY新日本監査法人のWEBサイトに

「規程整備のチェックポイント」が載っているので

こちらを引用させていただきます。

 

www.eyjapan.jp

 

1. 規程は会社の実態に適合しているか。

2. 規程間の整合性はとれているか。

3. 規程は各種法令等に違反していないか。

4. 運用実績は帳票、証憑等によって確認できるか。

5. 各規程の管理担当部門は明確になっているか。

6. 規程の改廃の時期は明確になっているか。

7. 規程の改廃の手続きは機関決定されているか。

8. 社員には周知徹底され、必要な規程は

   いつでも閲覧できるようになっているか。


これに沿って、実務上注意したいポイントを

挙げていきます。

 

1. 規程は会社の実態に適合しているか。

これ、上場準備中の企業は要注意ですね。

証券会社から「必要規程一覧」みたいな

リストをもらって整備を進めると思います。

 

でも、各種必要な規程は

全く何もないところからはなかなか作れないので

インターネットで検索したり

証券会社からひな型をもらったりして

規程を作ることが多いと思います。

 

すると、会社の実態と合わない内容、

特に「規程には書いてあるけど、実際はやってない」

という内容が出てくる可能性が高いです。

 

上場審査上は

「規程にあるけどやってない」のは絶対NGです。

そういう条文がぽろぽろ出てくると

実際にやっていることまで

本当にやっているのか?と疑われ、

じゃ、証憑出してください、という話になって

重箱の隅をつつくようなチェックの範囲が

広がってしまいかねません。

 

規程全体の信憑性を損なわないためにも

本当はやってない内容があったら

実態に即した条文に変える」ことを

まずは検討しましょう。

 

それが無理そうなら

条文ごと削除する」べきだと思います。

間違っても

「運用を規程に合わせる」ことはしません。

 

ただでさえ規則やルールは守られないものです。

いま、実運用ができておらず

そもそも誰が作ったか分からないルールに

運用を合わせていくのはナンセンスです。

 

2. 規程間の整合性はとれているか。

整合性が取れていないのは

当たり前と言えば当たり前です。

専門家に作ってもらったり

証券会社からサンプルをもらったり

インターネットに落ちているものを流用したりして

バラバラに増やしているわけですからね。

 

整合性を取るためには、少々面倒ですが

全ての規程を一気に、

通してチェックするのが良いと思います。

 

注意したほうがいいと思うのは

就業規則とその他の規程の整合です。

 

就業規則は、懇意にしている社会保険労務士

相談しながら作ったケースが大半。

なので、就業規則は会社の実態に

沿った内容になっている可能性が高いです。

 

一方、その他の規程。

会社の規模・業務範囲が大きくなるに従って

増やしていくことが多いので

どうしても、その時代やその時の実態に

合わせた内容になります。

すると、就業規則とのズレが生じやすいんです。

 

特に注意したいのは

手当や労働時間に関する規程のズレです。

 

給与規程や報奨金規程、

単身赴任、出張、旅費交通費等の規程を作ると

就業規則との整合性がとれていない条文が

混ざる可能性が高いです。

 

上場準備会社の場合は…

 

・規程にない手当を支払っていないか。

 

・規程に書かれている金額と

 異なる金額を手当として支払っていないか。

 

・支給対象となる人全員に支払われているか。

 

・割増賃金の算定基礎に入れる手当と

 そうでない手当の分類は適正か。

 

これらが審査の対象になりますので

同時にチェックしておく必要があります。


ちなみに手当関連は、上場審査だけでなく

税務調査(手当の課税/非課税)にも関わるので

非上場の会社でも注意しておきたいところです。

 

対策としては、すべての給与項目

(基本給、手当、奨励金、補助金等)に対して

以下のようなリストを作ってチェックすると

いいと思います。

 

○どういう性質の給与/手当かの説明

○支給対象となる条件

○支給根拠となっている規程の名称

○割増賃金の算定基礎に入れるか否か

 

余談ですが

手当の名称はその性質を正確に表現すべき

「技術手当」とか「教育手当」のような

抽象的な名称は避けた方がいいです。

 

「技術手当」と言われても

資格に対する手当なのか、それとも

役職手当に相当するものなのかわかりません。

「教育手当」という言葉だけ見ても

本人の教育にかかる手当なのか

それとも家族の教育費を補填する手当なのか、

見ただけでは分からないですからね。

 

手当の話ばかりになってしまいましたが、

労働時間や休日に関する

各規程の整合性も要注意ですよ。

 

3. 規程は各種法令等に違反していないか

8つのチェックポイントの中で、

対応が一番難しいものだと思います。

常に最新の法改正をチェックしている

法務部のような組織のある大企業はいいですが

なかなか一般の中小企業にはありません。。

 

しかしながら、従業員やその他関係者から

訴訟を起こされたり、労働基準監督署や税務署から

指導や指摘を受けてからでは遅いです。

 

私が思うに、これは

お金や時間をかけてチェックするしか

対応方法はない、と思います。

 

特に、

過去に作った規程が、

今の法規制に則しているかどうかのチェックは

社労士やIPOコンサル等の専門家に任せるべき

だと思います。

 

一度、時代に合った規程に直した後は

自分たちが勉強すればなんとかなります。

 

勉強には、やはり専門誌を読むのが一番です。

経理・総務・人事と、広い範囲をカバーする

専門誌として「企業実務」を講読している

会社も多いと思いますが

上場を目指すような企業が講読する専門誌としては

若干物足りなさを感じます。

(あくまでも個人的な意見ですが)

 

私のお勧めとしては

経理・会計・財務面は「経営財務」

総務人事面は月刊総務を講読していれば

まぁ法改正のポイントには追い付いていけるかと。

記事を読んで、当社に影響あるかも?

というところを

顧問の社労士・税理士に相談すればいいんです。

 

最近では、総務・労務向けのオンラインメディアが

かなり充実していて、本当にありがたいですね。

特に「オフィスのミカタ」が素晴らしいです。

 

officenomikata.jp

 

これが無料とは。助かりますねぇ。

これからの時代のオフィスのあり方を考え、

それを規程やルールに反映していこうという

前向きな取り組みに活用できます。

 

いずれにせよ

「規程は各種法令等に違反していないか」を

チェックするには、専門家の手助けと

社内スタッフのレベルアップが不可欠です。

 

4. 運用実績は帳票、証憑等によって確認できるか。

「管理してます」「運用できてます」と

誰がいくら何と言おうと

証拠がなければ、できていないのと一緒。

 

これは、規程を一度洗い直して

「~の承認を得るものとする」とか

「~を届け出なければならない」とか

「~を提出する」といったような

承認・届出・提出といった手続きが定められているものを

すべてピックアップする必要があると思います。

 

現状、できているもの・できていないもの、

保管しているもの・していないものを分類し

今後の方針を決めなければいけません。

 

というのも、特に重要な書類でないのであれば

提出したり、保管したりする必要はないわけです。

 

規程整備の実務上、気を付けておきたいのは

書類の保管が必要になるような手続きは

むやみに増やさない方がいい、ということです。

 

これは機密情報や個人情報の保持、

書類の保管年数といったルールにも

関わってくるのですが、原則として

「必要なくなったデータは捨てる」のがベスト

 

例えば、社有車運転や車通勤のために

年に一回、運転免許証のコピーを

従業員に提出させる会社もあると思います。

コピーを提出させる目的は

本当に有効な免許証を持っているかの確認です。

 

つまり、確認ができれば

それで目的は達成されるわけです。

ということは、その時点で破棄したとしても

かまわないわけです。

むしろ、免許証のようなガッツリ個人情報を

社内に置いておく方がリスクが大きいですよね。

 

何かと「申請書を書かせる」とか

「コピーを提出させる」といった制度を

作ってしまいがちですが、

本来の目的を考えると

申請があった内容や、事実であることを

確認できればいいわけです。

 

一方で、証憑として

書類の保管が必要になることもあります。

 

例えば、親族や本人の慶弔届。

本当に結婚したか、亡くなったどうかの証明を

会社が取るわけにはいかないので

本人に届出させるのが一般的ですが

これにも個人情報が含まれます。

 

じゃ、持っておくのはリスクがあるから

すぐ捨てていいか?と聞かれると

この届出を元に、慶弔見舞金を支給している会社は

捨てたらダメです。

本来の目的はどうであれ

それが従業員に対する手当支払の

証憑になっているので、捨ててはいけません。

 

書類や届けを出させるときは一つずつ

・利用目的は何なのか

・保管の必要はあるか

・いつ破棄するか

これらを慎重に検討しなければなりません。

 

多くの会社はこの検討を

適当に済ましてしまいますので

無駄な申請書や運用されていない書類、

そして管理されない個人情報が

山のようにできてしまうわけです。

ご用心を。

 

5. 各規程の管理担当部門は明確になっているか。

規程に主管部門が書かれていたとしても

本当にその部門が管理していますか?

 

・担当者が異動した際、仕事ごと別部署に移った

・担当していた課が、組織変更で別部署に移った

 

…というのは、ありがちなケースですよね。

 

あと、注意して欲しいのは

「規程を管理する部門」と

「規程の内容を運用する部門」は違う

ということ。

 

例えば「契約管理は法務」と

決めている会社が多いと思います。

でも、改めて考えてみてください。

 

契約書に押印・署名するのは

印章を管理している総務だと思いますし

契約を実際に結ぶのはそれぞれの部署ですし

契約書の原本はすぐに参照できるよう

各部門や現場で保管している、

という会社も多いと思います。

 

でも、主管部門は法務なんですね。

「契約印」管理は総務。

「契約書」管理は担当部署。

「契約」管理は法務。

 

上場審査では、こういった

業務の区別(職務分掌)が

規程どおりにきちんとできているか

ダブルチェック・トリプルチェックにより

互いに牽制が効いているか

をチェックされます。

 

余談にはなりますが

現実的に、ひとつの部署で完結するような

業務はほとんどありません。

そんな部署をまたいだ業務でも

間違いなく処理され、きちんと管理できるように

するためのルール、それが「規程」です。

 

「規程で決まっているから、そうしないといけない」

のではなく

「漏れなく、間違いなく運用しやすいよう規定する」

という発想を持たないといけません。

そうしないと、なかなか規程というものは

適切に運用されません。

 

規程を作る人はちゃんとそれを意識して

よく考えて作っているはずなんですが

年数を経ると、どうしても形骸化してきますよね。

だからこそ、各規程の管理担当部門を明確にし

定期的に見直しをさせる必要があるわけです。

 

6. 規程の改廃の時期は明確になっているか。

チェックポイント5の

「各規程の管理担当部門は明確になっているか」

と関連していますね。

 

「規程は年数を経るとどうしても形骸化する」

と書きました。

規程を作ってからしばらくの間は、

みんな「規程どおりにしないと!」と

意識して行動するので、規程が有効に働きます。

 

規程が徐々に従業員の間に浸透すると、

現場では、参照されなくなってきます。

 

もっと時間が経つと、規程に準じて作られた、

いわば規程の「子」である

細かいルールや手順が作られます。

そしてさらに時間が経つと、

「孫」となるルールや手順が作られていきます。

 

いつの間にか「規程に合っていない」ルールが

現場では生まれてしまう理由がここにあります。

 

ここまで書くとお分かりだと思うのですが

規程の改廃は、経営企画や管理部門のような部署が

単独でできることではありません。

 

実務を担当している部署、

もっと言うと、実務担当者でないと、

実際の業務と規程が合っているかなんてわかりません。

 

特に、上場準備企業は、業務のやり方や判断基準が

急なタイミングで、大きく変わることがあります。

できれば、半期に一回ぐらいは

自部署が管理担当となっている規程について

実務担当者を交えて、見直しをした方がいいですね。

 

7. 規程の改廃の手続きは機関決定されているか。

機関決定を漏らさないようにするには

すべての規程の改廃は取締役会の承認事項とする

のがお勧めです。

 

また、制度設計をしていると

「ここまでは担当役員承認、これ以下は本部長承認」

などと、細かく分けてしまいがちですが

極力、金額や内容で決裁権限を分けない方が

実際は都合がいいです。つまり

制度上一番楽なのは

全ての決裁が担当取締役に委ねられる状態です。

 

さらにもう一つ、忘れてはならないのは

「規程管理規程」を作ること。

 

規程管理規程の中では

すべての規程に共通することを規定します。

取締役会で審議し承認を受ける旨も

ここで規定しておくといいと思います。

 

なお、実際の規程管理では

すべての規程と担当部署がわかる

一覧表を作っておくべきですが

規定一覧表は

規程管理規程の中には入れない方がいい。

 

規程管理規程の中に入れてしまうと

管理部署や部署名が変わるたびに

規程管理規程も合わせて修正しないといけません。

 

かなり面倒ですし、漏らしてしまいがちです。

規程一覧は、規程の中には入れない。

これはお勧めのテクニックです。

 

8. 社員には周知徹底され、必要な規程はいつでも閲覧できるようになっているか。

今ではほとんどの会社が、社内共有サーバーなり

グループウェアなりを使っていると思いますので

規程はそこにアップロードしておけばOKです。

 

改廃があった時は、どこがどう変わったのか、

どういう人・業務が対象になるのかを

合わせてアナウンスしてあげるとより良いです。

 

なお、労働基準法上、従業員への周知義務があるのは

就業規則だけです。ですが、就業規則

「別途定めることとする」と書いている場合は

その別途定めた規程やルールも

公開する必要が生じます。

 

ちなみに、会社によって判断が異なりますが

私個人としては

規程は全て公開すべきだと考えています。

 

一方、評価基準や、給与賞与の按分など

できれば公開したくないルールは

規程という形ではなく、部署内の運用手順書や

マニュアルレベルにとどめておく。

その方が、無用のトラブルを避けられると思います。

 

おわりに

いかがだったでしょうか。

 

規程の見直しは、軽い気持ちではできませんね。

規程そのものの分量にもよりますが

複数人で取り掛かっても、数か月かかります。

 

IPOを将来的に目指す会社は、規程を作る当初から

フォーマットや用語集を整えたり

ボリュームを減らす工夫をしたりと

戦略的に規程整備を進めていくことをお勧めします。

 

説明不足の大阪都構想

大阪都構想の投票が終わりました。

私も元・大阪市民として注目していました。

 

私が大阪都構想に反対していた理由。

私は、今回(2020年)も、5年前も

都構想に反対していました。

反対の一番の理由は

そもそもの問題点が見えないからです。

 

問題とは

「あるべき(ありたい)姿と現状のギャップ」

なんです。

 

あるべき姿になりたいが

なにか障壁があって、なることができない。

その障壁が「問題」であり

それを取り除く方法が「解決策」なんです。

 

大阪都構想は「解決策」です。

私たちは解決策だけを見せられていました。

 

大阪が将来ありたい姿は、どんな形なのか。

そうなるためには何が障壁としてあるのか。

その「問題」を大半の大阪府市民、

広くは日本国民が理解できていません。

 

これは、維新の会の説明不足です。

もっと市民に向けた

わかりやすい説明が必要でした。

 

特別区制度以前に、「区」の存在意義がわからない。

私はかつて

住吉区中央区に住んでいましたが

そもそも「区」の存在意義が

いまいちよくわかりませんでした。

また私だけでなく、

多くの住民がそう感じているはずです。

 

大阪市の現状の区割りでは

独立した自治体と同じような行政の役割を

持たせるには、小さ過ぎるんだと思います。

 

そういう意味では

特別区のアイディアは優れていると私は思います。

 

しかしながら

そもそも今回の投票は

制度を変えるための投票であって

何をするかまで決める投票ではない

ということは、先にも述べた通りです。

 

繰り返しになりますが

大阪都構想が実現したらどうなるか

まだ具体的には決まっていなかったんです。

(そのことすら知らない人も多かった)

 

大体こんな感じになるんやろなーっていう

イメージが湧かないまま

ほいほい賛成・反対を決められません。

賛成派も反対派も

そこの説明が甘かったわけです。

 

ざっくりでいいから

ありたい姿を見せて欲しかったです。

 

会社員なら当たり前にやっていること。

我々会社員が、人に問題点を説明する時に

意識して(無意識のうちに?)

やっていることがあります。

 

一番太い、幹となっている問題は何か。

枝葉となっている問題は何か。

原因はどういったことが考えられるのか。

解決するには、どういう手段があるのか。

多くの手段の中から、なぜこれを選ぶのか。

 

現状の課題を、経営者や現場の人に

理解してもらうためには

上のような説明を意識しないといけません。

 

簡単に言うと

相手によって言い方、見せ方を変えながら

問題点を分かりやすく説明する

ことが必要です。

 

それを、今回は賛成派、反対派どちらも

全然できていなかったように感じます。

もし、これが民間企業の

経営企画担当だったとしたら失格レベル。

お話になりません。

 

前提条件の間違いを認識すべき。

投票の結果

10代、20代の反対が多かったことから

「若い世代は都構想に賛成多数」

という維新の考えは

間違っていたことがわかりました。

 

また、60代以上でもかなりの数の

都構想賛成派がいることも

はっきりしました。

これは自民・維新ともに間違えていた。

 

つまり

そもそも争点を作り出すための

前提条件を間違えていた

この事実は両党とも反省しないといけない

と思います。

 

性別や世代、支持政党に括られない

大阪市民としての思い、

真の民意というものがあったわけです。

 

改めて、大阪の有権者のレベルの高さを

感じることができました。

 

おわりに。

いずれにしても、時間がたてば

今回の投票の分析が出てきます。

大阪市民の、真の民意は何だったのか。

維新の会には、そこを明らかにして

よりよい大阪を作っていってもらえたら、

と思います。

 

カード会社で悩んだ、その結果

以前、年会費改悪となった

三井住友VISAゴールドカードをどうしようか

という話を書きました。

 

aporia.hatenablog.jp

 

候補に残ったのは

 

JCBゴールドに乗り換える

Amazon MasterCardゴールドに乗り換える

③ そのまま三井住友VISAゴールドを使い続ける

 

以上の3つ。

 

①は、クレジットカードの王道ですね。

JCBゴールド ザ・プレミアへの道も開けるので

いいかな、と思いました。

(海外あまり行かんのでメリットは少ないけど)

 

②は、三井住友VISAの年会費制度改悪の

対象外だったということもあり

候補にあがりました。

もちろんPrime会員なのでメリットも享受できます。

ただ、券面がちょっと格好悪いかな…。

 

③は無難の一手。

 

さて。

結局どれを選んだかと言うと

 

②の Amazon MasterCardゴールド です。

 

 

「マイ・ペイすリボ」に登録したので

年会費は5,500円。

 

「Web明細」にしたので

2年目以降は、さらに1,100円引の

4,400円になります。

 

Amazon MasterCardゴールドには

Prime会員の特典が付いています。

 

元々私はPrime会員でしたので

まぁ実質年会費無料(正式には△500円)で

ゴールドカードが持てる、ということです。

 

ギリギリまでJCBゴールドと迷ったのですが

やっぱりJCBは、海外では不安というのと

スシローで使えないことが決め手になりました。

年に7、8回はスシローで

大量の持ち帰り寿司を買いますからね。笑

 

実際手にして、やっぱり券面は格好悪いですが

早くプラチナカードを持てるぐらい稼ぐぞ!

という意欲が湧いてきたので

それはそれでよかったかな、と思います。

 

『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』(マイケル・サンデル著、早川書房)読了

マイケル・サンデル著『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』を読みました。

初版は2010年5月(原著は2009年)。

10年前に大流行した本です。

 

今さら?と言われるかもしれませんが

図書館で借りて、今さら読みました。

 

※上記リンクは文庫版です。

 

なぜ今さら、この本を読もうかと思ったか。

 

最近、Yahoo!ニュースを仕事の合間に

よく見るのですが

コメント欄の酷さに辟易していました。

 

でも、このコメント欄で

何かを主張しようとする人がいて

それに対して、激しい言葉で批判する人もいて。

 

とても「論争」と呼べるものじゃないけど

時々、キラリと光るコメントがあったり。

 

恐らく、みんな自分なりの「正義」をもって

ヤフコメを書いてるんだなぁ

などと思って、ふと

この本をちゃんと読んでなかったことを

思い出したわけです。

 

いやー久々に読み応えのある本でした。

それぞれの章で考えさせられます。

 

個人的にとても面白いと思ったのは

第4章「雇われ助っ人——市場と倫理」と

第6章「平等をめぐる議論――ジョン・ロールズ

でした。

 

私自身はリバタリアニズムに近い、すなわち

個人の自由を尊重する考えを持っているのですが

この二つの章ではすごく頭を悩ませました。

 

もしかしたらビル・ゲイツになれるかもしれない。でもホームレスになる可能性もある。ならば底辺層を切り捨てるシステムは避けた方が無難だ

(p.185)

 

まさにこの考え方が自分です。

はっとしました。

 

そして、最後に出てきたこの文章。

 

この数十年でわれわれは、同胞の道徳的・宗教的信念を尊重するということは、(少なくとも政治的目的に関係する場合)それらを無視し、それらを邪魔せず、それらに——可能なかぎり——かかわらずに公共の生を営むことだと思い込むようになった。だが、そうした回避の姿勢からは、偽りの敬意が生まれかねない。偽りの敬意は、現実には道徳的不一致の回避ではなく抑制を意味することが少なくない。そこから反発と反感が生じかねないし、公共の言説の貧困化を招くおそれもある。言説の貧困化とは、一つのニュースから次のニュースへと渡り歩きながら、スキャンダラスでセンセーショナルで些細な事柄にもっぱら気を取られるようになることだ。

(p.344)

 

まさにヤフコメ。

10年前に、この状況を予測していたのか、と

衝撃を受けました。笑

 

グローバリズムの終焉が見え隠れする今日この頃。

 

多元的社会の市民の間は

道徳的不一致であることは仕方がない。

しかし、そこに公が政治的に関与することと

私たち市民が全体の利益を目指し

お互いの運命を分かち合う、

そんな公正な社会に向けて討議していくことで

希望を見出すことができるわけですね。

 

他者を理解し、受け入れたつもりでいても

結局は自分の主観でしかない、と。

それならば、他者とは相容れないという

前提に立って話し合った方が

より良い環境を作り出せるということかと。

 

ちょっと古い本ですが

知恵と勇気を授けてくれました。

 

とても面白かったです。

 

会議資料のない会議はもう止めないといけない。

noteって読む価値ない記事がほとんどですが

 

人にどうやって説明しようかな…

と悩んでいる時に、たまーに

うわーこういうことが言いたかったのよ!

文章にしてくれてありがとう!

という記事が見つかるので

 

何個かの検索単語から

そのnoteに引き合わせてくれる

Google先生はやっぱすげーなと思うわけです。

 

今回読んで感動したのはこれ。

note.com

 

かつて私は、あるシステム開発のプロジェクトに

オブザーバーとして携わっていたのですが

とにかく、会議資料が用意されていない。

 

厳密に言うと、資料はあるんですが

発注先のSIerが作ってくれた資料で

このnoteでいうところの

「ガッツリ50pのパワポ」なんですね。

 

そのまま社内会議に流用するもんやから

事前にどこ読めばいいのかわからんし

読んだってなんのこっちゃわからんし

 

会議が始まっても

・資料になんでこんなこと書いてるの?

・そもそも今日は何を話し合うの?

・我々は何を決めたらいいの?

というところから確認しないといけない。

 

いや、確認する人はほとんどいない。

 ただ、進行役が延々読み続けるだけ。

 

進行役は最後に

「以上となりますが、何かご意見はありますか」。

 

半分ぐらいの参加者が、序盤で目を閉じて

天に召されている姿が見えないのか、と。

 

あと、議事録もちゃんと作らないので

毎回、同じようなところで

「これは違うね」

「いや、こうでしょう」

「いやいや前回こうだったでしょう」と

主張合戦が始まります。

 

地上戦から、そのうち空中戦に変わって

敵味方入り乱れ、あっちいき、こっちいき。

 

何の話してるのかわかんねーよ

という気持ちを隠し、頑張って聞いてた方々も

いつのまにか目を閉じて、天に召されていく。

結局、そのまま終了時間に。

 

主張合戦が好きな人や

「ブレスト偏執狂」の人って

とりあえず場が盛り上がりさえすれば

有意義だったね!と思ってるので

結論が出なくても満足そうな顔してるんです。

 

そんな状況に耐え切れなくなってきたので

重要発言だけをまとめてメモ作ってあげたら

その次の会議の時

「今回も議事は私さんが取ってくれるよね」

的なことを言われて

とうとうブチ切れてしまったわけです。

 

「ええ加減にしてくださいよ!

 人の時間をなんやと思ってるんですか!

 なんぼムダを垂れ流したら気が済むんですか!」

 

とかなんとか叫んだ気がする。

若かったなぁ。あの頃はイケイケでした。

 

当時、このnoteがあったら

落ち着いて話ができたかもしれませんね。

 

資料の準備のない会議は、本当に無駄です。

素晴らしい内容だと思います。

勝手にリンク貼らせてもらいましたが

ぜひ、みなさまご覧ください。

 

組織について

組織がうまく回らない。

世の中のほとんどの経営者が

この悩みを抱えているんじゃないかと。

 

組織の理論としては

チェスター・バーナード氏による

組織の三要素が有名ですね。

 

・共通目的

・貢献意欲

・コミュニケーション

 

組織はこの3つから成立するもので

どれか1つでも欠けると

うまく機能しないよ、という話です。

 

でも最近、この理論はもう

ちょっと時代遅れなんじゃないかと

個人的には思っているわけです。

 

だって、どの会社もみんなやってるでしょう。

ビジョンとか中長期目標をちゃんと作って

「事業方針発表会」とかいって

社員を集めたりオンラインで繋いだりして

コミュニケーション取ってるでしょう。

 

工夫して色々やってるんですよ。ちゃんと。

でも、組織はうまく回らないんです。

 

当然です。

会社や職場に対する帰属意識

この20年近くで大きく変化していますよね。

そして、このコロナ禍です。

 

今までうまく回ってた。

テレワークのシステムもちゃんと用意していた。

なのに、7割在宅勤務が始まった途端に

管理機能不全に陥っている。

そういう組織は多いと思います。

 

反対に

上司はろくな指示を出さない。

部下は報告しない。

オンライン飲み会では愚痴だらけ。

でも、思ったよりうまく回ってる。

むしろ、離れているからこそ

方向性を再確認できて、結束がより固くなった。

そういう組織も結構あると思います。

 

2020年現在では

「三要素が満たされたら組織は回る」

という前提が、もう成り立たなくなっている。

そう言ってもいいと思います。

 

では、どうすればうまく回るのか。

残念ながら、その答えはわかりません。

わかったらノーベル賞もんですよね。

 

今回言いたかったのは

古い理論を盲目的に信じていると

手遅れになるかもしれませんよ

ということです。

 

理論を知ることは大事ですが

それが現代の考え方に合うのかを考える

そして

自分の会社や職場にあてはまるのか確認する

という作業も必要だと思います。

 

『いま君に伝えたいお金の話』(村上世彰著、幻冬舎文庫)読了

村上世彰著『いま君に伝えたいお金の話』を読みました。

Prime Readingはいいですね。個人的に啓発本は好きではないので、気になるタイトルがあっても、ちょっとお金を出すにはどうかな?と思ったりするのですが、そういう時にラインナップにあると助かります。

 

 

村上世彰氏は言わずと知れた村上ファンドの創設者です。と言っても、いまの20代以下の世代には、あまりピンとこないかもしれません。だからこそ、いまの若者に読んで欲しい一冊だと思いました。

というのも、我々30代以上の世代からすると、村上氏は「悪人」のイメージが強いです。ご記憶の方も多いでしょう。

 「むちゃくちゃ儲けました」

「金を儲けて何が悪い」

「みんな僕が金儲けをしたから嫌いなんですよ」

非常に衝撃的なメッセージでした。Amazonレビューを見ても、その記憶からくるイメージ・先入観からか、人格を否定するような意見、あるいは揚げ足取りのような意見が多くて、ちょっとがっかりします。

 

先入観を持たずに読んで欲しい。

金儲けが悪いとか悪くないとか、そういった話はさておいて、私は、村上氏の「コーポレートガバナンス」に対して一貫した思いを持っていることに、とても共感、尊敬しています。

村上氏は元官僚。コーポレートガバナンスを日本に普及させる仕事をされていたそうです。

私は、事業会社の実務としてコーポレートガバナンス・コードに対応するための仕事をしています。毎日仕事をしている中でよく思うのは、あと20年、いや10年でも早くコーポレートガバナンスの思想が日本に広まっていれば。

この辺りの影響は大きく変わっていたことでしょう。そして、私がこれまで勤めてきた会社も、もっと発展できていたに違いありません。

コーポレートガバナンスを日本企業に浸透させる」という村上氏のミッションに、私は強く共感しています。

村上氏が本書内で語るのは「正論」です。そして「事実」です。だからこそ、先入観を一度抜きにして読んでみて欲しいですね。

 

企業とは利益=お金を追求するもの。

おそらく、これからの時代は、いま以上に「お金」に対する執着が薄れてくると思います。リアルからバーチャルに移行すると、どうしてもそういう事態が起こるとは思うのですが、ここを乗り越えていかないといけない。しかし、その障壁になるのが、今の中年からお年寄りの世代。

今でも「貯金はどうせ通帳の上の数字」とか「株や投資信託なんて結局はギャンブル」と言って貯金や投資の大切さを理解できていない人は結構な頻度で見かけます。

その一方で「やっぱりネット銀行に預けるのは不安」とか「リスクを負うよりは定期預金がいい」などと言う、金融リテラシーの低い人も多いです。そういった人たちが、実は会社で要職に就いていたりするわけです。

そんな人たちが会社で売上高や利益、利益の還元の話をしても、何の説得力もありません。「企業とはどうあるべきか、何をすべきか」を理解しているとは思えないからです。

 

凝り固まった考えをほぐすのは難しい。

今の日本企業の経営陣の、その中核を占める「ただ、会社から給料をもらって生きてきた人たち」の考え方を変えるのは、今さら無理なんです。

だからこそ若い人に、お金に対する「正論」の考え方を、身につけて欲しいと思うわけです。そうなれば、村上氏のミッションであり、読者の私の理想でもある、コーポレートガバナンスの浸透も、すんなりと受け入れられる世の中になるのかな…などと、私は期待しています。

まずは、先入観を捨てて、ぜひ。いい本です。星4つ。