まずは読者が理解できるような内容にすべき ~ryuchellさん離婚報道に見るマスメディアの記事作成能力の低下
今日のモヤモヤ。
ryuchellさん自体はどうでもよくて、問題はこの記事の文章です。初見で理解できますか?恐らくなんのことやらさっぱりわからない、とか、で、結局どういうことなの?と思った人も多いはず。
まぁこの記事そのものが「インスタグラムに投稿した」という内容をなので、ある程度、予備知識がないと理解できないのは仕方ないです。
が、別の媒体の記事を見ても、何が言いたいの?と同じ感想を抱きました。
下は、ryuchellさんがインスタに投稿して各記事が引用している文章です。
“本当の自分”と、“本当の自分を隠すryuchell”との間に、少しずつ溝ができてしまいました
“夫”であることは正真正銘の“男”でないといけないと。自分で自分を縛りつけてしまっていたせいで、“夫”であることには、つらさを感じてしまうようになりました
ここが詩のような書き方なのでなかなか理解できません。
ryuchellさんのこれまでの経歴について、私はそれなりに知っていたのですが、それでも理解が難しかったです。
結局のところ
性自認が男であるか女であるかはっきりしていない(あるいは女として認識している)のにもかかわらず、男、夫、父親として扱われることに我慢できなくなった、だから離婚することにした
という解釈をすればいいんでしょうが…
あのね。ちゃんと書いてくれないと、わからんよ。
インスタ投稿を全文読んだって、核心に触れているわけではなく難解な書きぶりなのに、変にところどころ引用されているから
ちょっと何言ってるかよくわからない
記事になってしまっています。
時々このブログでも批判していますが
マスメディアの記事作成能力、特に基礎的な文章力の低下が著しいです。
たとえ速報性が求められるネットニュースであろうと、多くの人の目に触れるメディアである以上は、このニュースが何を伝えているのか、見た人が8割がた理解できる日本語の文章にしないといけないと思うんですよね。
マスメディアの皆さん。適当にコピペするだけじゃなくて、もう少し頭を使わないといけませんよ。というお話でした。
転職相談の実例メモ
前にも書いたのですが、私は転職を3回しています。
田舎在住のサラリーマンとしては、40手前で正社員を3回転職しているというのは珍しいこともあって、転職の相談を受けることが時々あります。
どういう相談をされて、どういう答え方をしてるの?
と、聞かれることも多いので実例を書いてみます。
※以下、プライバシー保護っていうか身バレ防止のため、多少フィクションが入ります
この度、相談を受けたのが以下の二人。
①大卒、入社2年目の正社員Aさん
②高卒、入社15年目の正社員Bさん
①入社2年目Aさん
転職動機:給料が安い、休みが少ない、会社に将来性がない
ひとり暮らしがしたい。
いまは実家暮らしで、規程上、会社の寮には入れないので、アパートを借りて住みたいと思っているが、自動車維持費を含め、今の給料で生活費をまかなうのは厳しい。
大学の同期の友達に聞くと、当社は休日も給料も少ない。この待遇ではとてもじゃないが、ひとり暮らしでは生活していけない。
また、設計の技術が身に付くと思ってこの会社に入った。
でも、新規開発案件はほとんどないし、日々の業務が忙しすぎて、あまり勉強ができない。
さらに、人口減少の世の中で、当社の商品が売れ続けるとは思わないし、競争は一層激化し、厳しくなっていく。
自分も会社もこのままでは明るい将来が見えない。
私が言ったこと
まずは、自分の問題と、会社の問題を切り分けることが必要。
話を聞いていると、Aさんは
自分の問題と会社の問題が整理できていない
ように感じます。
ひとり暮らしについて。
必要な生活費は個人個人で違うので何とも言えません。ただ、当社の給料水準は、ひとり暮らしができない額ではないと思います。というのも、現に独身寮を出て、自分でアパートを借りている若手従業員も複数名いるからです。
ひとり暮らしをするには、節約が必要になってきます。実家住まいだと給料の大半が自由に使えると思います。が、今までどおり車を維持したままひとり暮らしをすると、恐らく、毎月、手元にはほとんどお金は残りません。
シミュレーションなしに生活はできません。まずはAさんが必要な生活費をきちんと計算し直してみて、どこを削ればやっていけるか、考えてみてはいかがでしょうか。
給与と休日について。
会社側は採用時に条件を提示しています。そして、提示した条件どおりに会社は給与を支払っています。今年度は、年間休日は2日増えましたし、1万円近く昇給もしているはず。
条件を理解して入社したはずなのに入社して2年目で「給料が少ない、休みが少ない」と思った理由はなんでしょうか。
生活費が想像以上にかかっているのか、それとも休日出勤が多いのか。とにかく、何か当初の計画通りにいっていないところがあるはずです。そこをじっくり考えてみてください。
その結果「やっぱり今の給与額や休日数では満足できない」という結論が出たのであれば会社を変えるべきです。
特定の社員だけ給料を上げたり休みを増やしたりすることは平等性の観点から、できません。
待遇に対する不満の解決方法は、転職しかありません。
ただ、私個人的な印象ですが「隣の芝生が青く見えている」のではないかと。Aさんの大学同期の友達の待遇がよく見えているだけではないですか。
また、人口減少は社会の問題であって、会社の問題ではありません。日本国内で商売をする企業である以上、人口減少問題は避けることができません。さらに人口減少が、業績にプラスに働く会社は日本にはほぼありません。
最後にひとつ、間違ってはいけないのはAさんの将来のための勉強、Aさんが足りないと思う能力を伸ばすための勉強は、Aさんが自分自身で考えてやらなければならないことです。会社が何かを与えてくれると思っていてはいけません。
自分の努力でどうにかなる部分とどうにもならない部分をまずは整理することをお勧めします。
・給料はいくら欲しいのか
・休みは何日欲しいのか
・どういった仕事をしたいのか
・会社の将来に何を求めるのか
といった、Bさんの希望を整理してからの方が、転職活動を行うにしてもうまく進められると思います。
②入社15年目Bさん
転職動機:自分の力を試したい
高卒で入社してから一生懸命勤めてきた。会社の仕事はもちろん、資格取得もがんばってきたし、人間関係の構築にも努力した。
その甲斐あって、史上最年少クラスの若さで課長に昇格することができた。責任ある仕事を任されるようになったが、そつなくこなせていると思う。
今の仕事に大きな不満はない。
上司の仕事の進め方と自分の意見が合わないこともあるが、評価はしてもらっているし仕事が楽しいと感じることも多い。
ただ、この会社に貢献したい気持ちはあるが、それ以上に、一度外に出て自分の実力を試してみたいという気持ちの方が今は強くなっている。
もっと大きい仕事、責任のある仕事を任せてもらえる会社でバリバリ働いてみたい。
ちなみに、給与や休日の待遇に不満がないかと聞かれると、まったくない、というわけではない。
私が言ったこと。
もっと自分に正直になってもいいのでは。
Bさんは着実にキャリアを積み重ねています。同世代では断トツの昇進スピードです。間違いなく、会社の期待の星であり、幹部候補の最有力者です。
そんなBさんが「仕事が楽しい」とはっきり言えるのはとても幸せなことだと思います。世の中の大半の社会人は「仕事は楽しくない、憂鬱だ」と思いながらも、収入のために自分を抑えて働いていますから。
今のところBさんには、何も問題がなく、当面の未来も明るい道が開けているように思います。
それなのに、どうして転職を考えたのでしょうか。実は他の理由があるのではないですか。私は上司でも何でもないし、これが評価に繋がるわけではないので、正直に話してもらっても構いません。
Bさんが言ったこと。
そう言われて考えてみると、待遇が理由かもしれない。
当社は、課長になったところで年収は○百万円程度。一方、都会の同業他社では課長クラスになると当社プラス2百万円は貰えると聞く。
今、生活に困ってはいないし誰かと収入を比べたいわけでもない。ただ「他の会社なら、いくら貰えるんだろう」という好奇心と、もっと単純に「たくさん貰えたら嬉しい」という気持ちはある。
あと、高卒で入社して今まで一筋でやってきたが、転職というものを一度は経験しておきたいという気持ちがないわけではない。
高校時代の友人たちは既に転職経験者が多い。自分が井の中の蛙になっていないかというのは常に意識しているつもりだが、「井戸の外側にも世界がある」というのを実際に見てみないと、と思っている。意識だけでは難しい。
私が言ったこと。
転職エージェントに登録して、自分の市場価値を客観的に測ってみては。
会社の経営的には、是非ともBさんに、このまま残って欲しいだろうと思います。
もちろん私も、同じ気持ちです。Bさんのような優秀な人とこれからも一緒に仕事がしたい。
ただ、それではBさんの気持ちがモヤモヤしたままだと思いますので、まずは転職エージェントに登録してみてはいかがでしょうか。
履歴書や、職務経歴を公開して他社からどれくらいのオファーが来るのか試してみるべきだと思います。Bさんは15年間、専門職として会社一筋で勤めてこられました。実務経験も豊富で、技術資格や免許も多く持っています。その時点で間違いなく高い評価を得られるでしょう。
実は、前の会社の役職・肩書は転職市場における評価にはあまり影響ありません。役職がついてから、どんな仕事をしたのか、どう会社に貢献したのか、というところを見られます。もちろん、学歴もほぼ役に立ちません。
その点でも、Bさんは高卒とは言え、数年にわたる部下のマネジメント経験がありますので、かなり高い評価を得られるのではないでしょうか。
ただ、転職というのはタイミングです。
良い会社がいくら募集をかけたとしても、良い人が転職市場に出ていなければマッチングは起こりません。
その逆も然り。良い人が積極的に転職活動をしていても、欲しいという企業がなければ契約は成立しないわけです。
今の会社を辞めてからでないと転職活動をしてはいけないというルールはありません。
特に、今の仕事が楽しくて、待遇にも不満がないのであれば、尚更、すぐに辞めなくてもいいと私は思います。
ですので、まずは転職エージェントに登録してプロフィールを公開しておきましょう。実際に、気になる企業から条件の良いオファーが来たら面談してみましょう。企業側とじっくり話をした上で、その時の気持ちで転職するかどうかを考えても良いと思います。
私の気持ち。
いかがだったでしょうか。
結局、二人とも退職はしていませんが、Aさんの方は、なんとなく年内いっぱいぐらいで辞めてしまうかな…といった感じ。
私自身、ひとつの会社に長くいるつもりはありませんし、終身雇用とか年功序列とかマジでクソみたいな制度やな、と、昔からずっと思っています。なので、どうしても転職希望者側の立場に立ってしまいます。
会社からしてみたら、おい!なに余計なこと言うとんねん!という感じかもしれませんがねw
転職はリスクが伴う
でもね、やっぱり、転職には一定のリスクがあります。
転職先が、今より良い会社かどうかなんて、募集広告を見て、2、3回面談したぐらいじゃわからないわけですよ。
会社が自分に合う、合わないは、肌感覚みたいなものもありますし。
私が前に勤めていた会社は、東証プライム上場、従業員数千名を抱える大手企業で、世間的には超絶ホワイトに分類される会社でしたが、私にはその仕事の進め方が合いませんでしたし。
そんな感じで、部外者には責任が取れないので、気軽に転職は勧められません。いつもニュートラルな気持ちで、相談に乗るように心がけています。
もう決意が固い人に対しては、思い切り背中を押しますし、決意が弱い人には、もう少し思いとどまるように話します。
我慢できないほどのストレスとか不満がないのであれば、今の環境を受け入れて、環境に自分を合わせていくというのも、自分の成長には不可欠だと思いますしね。
だらだらと書きましたが、何かの参考になれば幸いです。
岸田さん叩くのはおかしくない?と思った件
夏休みの間にコロナに感染した岸田首相。
やたら叩かれてますね。
岸田さん、ゴルフのスコアを嬉しそうに、わざわざテレビカメラに向かって話す必要はなかったねーとは思います。ですが、そこまで叩かれることか?
医療従事者が頑張ってる時に総理大臣が遊びに行くなんて何事だ!
とか文句言ってる人いますけど。
ご存じないと思うのでお話しします
執拗に岸田さんを叩いている方は、たぶんご存じないと思いますので、お話させていただくのですが。
日本には「お盆」という風習があって、その期間、仕事を休む「お盆休み」という習慣が大昔からあるんです。
ご存じないと思うんですが、比較的、お盆から宗教色が薄れた現代の日本でも、お盆の3日間+αを長期休暇とする会社や個人が非常に多いんです。
その期間、日本人は、帰省したり墓参りしたり旅行したり渋滞に巻き込まれたりマンガ読んだり寝て過ごしたりして、思い思い、好きなように過ごすことがごく一般的なんです。
ご存じないと思うので、さらにお話しさせていただくと、お盆休みが取れない職種の方も「夏季休暇」とか「リフレッシュ休暇」とかいう名前で、少し時期をずらして、夏の間に長めの休暇(といっても一週間程度)を取ることは、日本では一般的なんです。
ご存じないかもしれないので、もうひとつ、念のためお話しします。
新型コロナウイルス感染症に対して、マスクをしたり、アルコールしゅっしゅしたりして、まだまだ日本では感染予防行動を自主的に取っている人が多いです。が、公式には行動制限自体はかかっていませんし、大多数の日本人はそのことを知っているんです。
そんな日本では「今の時期、仕事を休んで遊びに行くなんて何事か!」と、吠えている人のほうが「おかしなことを言う人だなぁ」と思われてしまうわけです。
ご知じないと思いますけどね。
逆の立場だったらどうか。
休めない人間がいるのだから、政治家も休むな、出かけるな、というのはちょっと乱暴すぎませんかね。
反対の立場だったらどうでしょう。
休診あるいは診療時間外なのにも関わらず、入口の戸をバンバン叩かれて、携帯電話を鳴らされて、急病人がいるのに休むなんて何事か!って言われてる病院の先生と同じです。
ここまで書いて気付いたけど
こういう当たり前のことが理解できず、自分を世界の中心としてしか物事を考えられない人だから「医療従事者が頑張ってる時に、総理大臣が遊びに行くなんて何事だ!」とか意味不明なことを言っちゃうんですよね。
そういう人に何言っても無駄。
あ、ちなみに。こういう状況を表す日本のことわざに「馬の耳に念仏」というのがあります。日本では、小学生でも知っているような、非常に有名なことわざですが、たぶんご存じないと思いますので、念のため書いておきました。
はてなブログのアクセス解析で妙な結果が出ている件
だらだらゆるゆると書き続けているブログ記事ですが、久々にアクセス解析を見ると、なんか面白い結果が。
きれいに3日おきにアクセス数が伸びています。
ちなみに時間は8時から9時の間。
よく読まれている記事は、マイナンバーカード批判の記事。
うーん。何が原因でこうなっているかよくわからん。少なくとも見てくれている人はそんなにいないとは思うんですけど。クローラーが走ってるんですかね?
Google Analytics設定したので、しばらくしたら結果を比べてみようと思います。
まぁとにかく、もっと読んでもらえるようにこれからもコツコツ書き続けますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
『ANTHRO VISION (アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界』(ジリアン・テット著、土方奈美訳、日本経済新聞出版)読了
「今年読んだ中で一番面白い本」の最有力候補作と出会いました。
フィナンシャル・タイムズ(FT)誌のトップジャーナリストであり、ケンブリッジ大学出身の社会人類学者であるGillian Tett氏が記した本です。
日本語版は2022年1月初版。
まえがきの「コロナ禍と顎ヒゲ」のエピソードを見て、お、これは面白そうな本やな、と思って読みましたが、素晴らしい一冊でした。
ひとことで言うと。
今日の問題の本質をとらえること、そして対応することに「人類学」というツールが役に立つんだよ
ということが書かれている本なのですが、それを語るひとつひとつのエピソードが、すごく面白いです。
先日、私はこのような記事を書きました。
ここで書いた
「広く実体験として、いろんなものを見て、いろんな人と出会い、話」すこと。
この重要性を再確認できました。
個人的に一番興味深かったところ。
第六章「おかしな西洋人」のプリムローズ・スクールズの事例です。
保育サービスを運営するプリムローズ・スクールズの経営陣と、子どもを預ける親世代には決定的な違いがありました。
幼児教育の役割についても、保護者の認識は教員たちのそれとは違っていた。教員たちは教育的成果をアピールした。だが保護者は子供の人格、好奇心、自己表現、レジリエンスを育んでほしいと望んでいた。(中略)「適応力こそが二一世紀のスキルだ、と」。
もうひとつ両者に違いが見られたのは、保護者は権威との上限関係への意識が希薄だったことだ。科学者、教員、企業のトップ(あるいはプリムローズの経営陣)が常に最高のアドバイスをくれるとは考えていなかった。(中略)「専門家」を権威とはみなさなかったし、そのために保育サービスにおカネを払おうとも思わなかった。(P.172)
いわゆるビッグデータを持っている側が、優位で権威のある専門家である、と私たちは考えがちですよね。
でもそれはあくまでも自分の属する文化的集団においてのみ通用するものであって、実は
ルールはコンテクストに応じて変化しうる(P.176)
もの。
例えば、製品やサービスがとても優れていて、万人に受け入れられるもので信頼性も高い、などなど、売り手はがんばって説明しますよね。でも、購買者からしてみれば、自分で自分の商売のことは良く書いて当然だと思われています。
その証拠に、第三者である口コミサイトのベストレビュアーに「使いにくい」と書かれたら全く売れません。
さらに、うちのサービスを使うとこんなに便利で豊かになるよ、というイメージ画像をパンフレットやWEBサイトには載せがちなんですけれど、それも結局売り手側の押し付けであることは、購買者は百も承知なわけです。
自覚・自省する。
この本を通読しましたが、特に目新しいことはなく、当たり前のことばかり書かれていました。でも「改めて考えさせられる」という言葉がぴったりの読後感。
特にイギリスや日本のようなかつて栄華を誇った経験のある国(と、その国民)は自分たちとは違う文化的・社会的、道徳的価値観を否定しがちです。
本書に出てくるBPのバーナード・ルーニーのように、自分たちの置かれている状況を冷静に受け止め、自覚し、視野を広げることができるかどうかが、今後生き残れるかどうかの分かれ道になるんでしょうね。
常に自省しないといけません。
終わりに。
コロナ禍真っ只中の日本。
2021年に書かれた本書が、このスピードで日本語訳されたのは本当にありがたいです。翻訳もいいですね。文章がすらすらと頭に入ります。
調べてみると、訳者の土方奈美さんも元々は日経の記者さんだったそうで、さすがの文章力です。
あらゆるビジネス、カルチャー、そしてパンデミックも初めは非日常だったのに、今はそれが日常になってしまっている。そんな私にとって、とても刺激を与えられた一冊でした。
星5つです。全力でオススメします。
家づくりについて:物置は国内大手メーカーのものを買うべき、という話
家を新築、引っ越して早1年。ようやく物置を建てました。やっぱり便利ですね、物置。
以前書いたのですが、いま私が勤めている会社は物置設置のお仕事もやっています。私も一応プロですので、物置選び、建てる時のコツや注意点を書いてみます。
まずは物置は国内大手メーカーのものを買うべきというお話です。
国内大手メーカーとは。
国内大手メーカーは3社あります。
まずはご存じ「100人乗っても大丈夫」、イナバ物置の稲葉製作所。
少し前ですがSNSで大雪の写真が話題になりました。さすがイナバ、頑丈さは折り紙つき。
次に、鉄鋼メーカーの淀川製鋼所。ヨド物置という商品名で売っています。
少し前まで杏ちゃんがCMに出てました。ちなみに物置とは直接関係ありませんが大阪駅の大屋根はヨドコウ製です。
そして、前の2社に比べると知名度は低いですが、愛媛の老舗メーカー、田窪工業所のタクボ物置。
価格と品質のバランスに定評があり、ホームセンター大手のコメリ、コーナン等のオリジナル物置は実は田窪工業所製だったりします。
悪いことは言いません。この3社のどれかを選びましょう。
なぜ大手メーカー製を選ぶのか。
理由は簡単です。
圧倒的な施工実績があるから。
皆さん、ご存じでしょうか。年間の物置の販売台数。その数、なんと約50万~60万台だそうです。
そして、このうちの約7割が上記の3社の製品だそうです。これ、累計販売台数じゃないですよ。この3社は毎年10万台以上の物置を建ててるんです。実績が桁違いです。
友人知人から聞かれるんですけど。
たまに「○○っていう物置知ってる?実際あれってどうなん?」って、いろんなメーカー、ブランドの物置の良し悪しを、人に聞かれることがあります。が、正直に言いますと「わからん」笑。
なぜならほとんど建てる人がいないからです。
しかも、わざわざ建てた後のお客様からその使い勝手がどうだとか、報告してもらうわけでもないですし、5年、10年もつかどうかなんて、はっきり言ってわからないんです。
一方、大手メーカーは施工実績が多いので、他の工事やメンテナンスでお客様のお宅に伺った時に、色々見ることができるわけです。だいぶ古いの使ってるけどまだまだ大丈夫そうやな~、とか、ここから錆びることもあるんか~、とか。
だから、アドバイスもできるんです。
屋外収納とは言え、大事なものを入れる箱であることは間違いない。はっきり言っておきましょう。国内外問わず、よく知らないメーカーの物置を買うのはお勧めしません。
最も厄介な事故は雨漏り
国内製であれば、大体どのメーカーも耐震や耐候はそれなりにしっかりしています。ただ、厄介なのが雨漏りなんですよね。収納物が濡れてしまっては、物置の意味がありません。
日本は、非常に雨が多い国です。もちろん外国だって雨は降ります。でも、日本のような厳しい気候はなかなかありません。
・1ヵ月間、昼夜問わず雨が降り続ける
・山が崩れ、町が浸かる程の雨が時々降る
・かつ、台風が頻繁に来る
・そして、年間の気温差が30度を超える
・おまけに雪が降る
こんな国、普通に考えたら屋外収納作ろうというのがおかしい笑。とにかく、安い海外製の物置はお勧めできないということは分かっていただけると思います。
一方、高ければ安心、日本製であれば絶対安心、というわけではないんです。
「大手メーカーの物置はみんな同じ形で面白くない、ダサい」と言う方が時々いらっしゃいます。が、同じ形になる理由は、雨や風に強く、気温の変化に強いからなんですよね。
そこを理解して欲しいなぁと、エクステリア業界に入ってたった数年で、悲惨な雨漏りを何十件も見てしまった、業界の中の人としては思います。
ちなみに「気温の変化って関係あるの?」と思われるかもしれませんが、大半の国産物置は鋼製、つまり鉄の板でできています。鉄板ですから、気温の変化で伸縮します。
鉄板が薄かったり、金属加工の精度が低かったりすると、本体の歪み、部品のガタつき、ネジの緩み、塗装の劣化が起こります。
板厚は厚ければ厚い方がいいし、パーツはシンプルな構造で、数は少なければ少ないほど良いのは間違いありません。
「せっかくだから、オリジナリティのある物置を建てたい」とか「他のお宅とは違う物置を建てたい」と思う気持ちはよくわかりますけど、世の中の物置がほとんど同じ形をしているのには、ちゃんと意味があるんです。
そこは、難しいところです。
物置に見た目の変化は必要ないと思う
以上を踏まえて、これは個人的な意見なのですが、物置は見た目の変化よりもシンプルを追求すべきだと思います。
これは日本の物置業界全体の悪しき慣習なんでしょうけど、各メーカーは、カラーバリエーションを増やしたり、扉に木目を付けたり、絵を描いたり、屋根や取っ手を変わった形にしてみたり、凸凹で陰影をつけてみたりと、そういう方向でオリジナリティを出そうとしています。
でも、ちょっと待ってよ、と。そもそも、物置を家の前面に出して目立たそうとする人はいないでしょう。
だって、物置ですよ?
絶対に、家や外構の主役になることはありません。極力、箱に近いシンプルな形状で、色も単色の方がいいと思うんです。
ただ、色は外壁に合わせて選べるようにして欲しい。多くのメーカーが採用しているグレーとベージュだけでは、今時の住宅の外壁すべてにマッチしなくなっていますからね。大手メーカーには、いい加減この事実を認識してもらって、商品開発を頑張ってもらいたいです。
大手メーカーでシンプルな物置を。
まぁそんなこんなで色々書きましたが、結局は
大手メーカー製の、極力シンプルな物置を建てるのが見た目もいいし、お手頃価格で安心安全、性能も優れている
ということです。
もちろん、お金をかけて造作で物置を作ることは可能ですが、フェラーリみたいに高価な車を収納するわけでなければ、たかが物置、たかが屋外収納に何十万もかける必要はないと思います。
やっぱりエクステリア系の話は熱が入ってしまいますね笑。次回は物置の収納術について書こうと思います。
甘いパン屋さんの新聞記事
朝から変な記事を読んで、モヤモヤした一日でした。
そもそも問題が多すぎるわけで。整理してみましょう。
価格設定が無謀。
1個100円(税別)の「100円パン」が看板だった。
何よりもまず、価格設定が無謀です。
今、この価格で、まともな商品を作って売ってまともに利益を出せる地域は、日本全国どこにもないと思います。「100円パン」のコンセプト自体は素晴らしいと思うんですが、店舗を借りて、人を雇って経営するにはあまりにも無謀な価格だということは明らかです。
一般的な食品製造の材料費率って30%程度らしいです(※労務費や光熱費除く。純粋に材料のみ)。
つまり、100円のパン1個売って粗利が70円ってことです。そこから従業員のお給料とか家賃とか、光熱費を払うわけですよ。まぁ無理でしょう。
ざっと試算してみた。
感覚的に分からない方もいらっしゃると思いますので、ざっと試算してみましょうか。
お店の写真を見た感じ、結構広いし、商品数がかなり多いので、完全なワンオペはちょっと難しそう。
朝 7:00~9:00
昼 11:00~14:00
夕 17:00~19:00
これら、計7時間くらいは、2名体制でないと回せないと思います。
時給1,000円×19時間で19,000円(社会保険料等含む)。
家賃は安く見積もって7万円として、月25日営業だと日当たり2,800円。
水道光熱費はパン屋なので高そう。5万円として日当たり2,000円。
その他、火災保険料とか制服代とか諸経費を諸々入れて、必要経費は日に28,000円ぐらい、といったところでしょうか。
これ、1日400個パンを売らないと利益が出ない計算です。東京や大阪ならまだしも四国の徳島県、しかも小松島です。
人口5万人にも満たない町で、時間当たり30~40個のパンが、毎日コンスタントに売れていくとは到底思えません。
平日とか日曜とか関係なく、そもそもの計画に無理があります。
人員計画が弱い
外国人技能実習生を、実質的に低賃金の労働者として扱っている企業は多いですが、コロナ禍で実習生の新規入国ができなくなることって、2020年初頭から予測できていました。
残念ながら、手を打つのが遅過ぎます。
日本人アルバイトを確保して営業を続ける方針だったが、難航。
日本中すべてが人手不足みたいな言い方をする人がいますが、実際はそんなことありません。現に、給料の高い職場や労働環境の良い職場には人は集まってるわけですから。
でも、次の一文でそりゃー駄目だわ、と思いました。
パン焼き作業を担当し、1カ月の平均労働時間は約170時間と、フルタイム並みの戦力。
ここに書いてある条件で、同じような人材を探すのであれば、難航するのは当たり前です。
最低賃金に近い給与で、パン焼きという肉体労働を長時間続けてくれて、かつ、日曜も出勤できるような人は、今の日本にはいません。
甘すぎる。
経営戦略がおかしい。
「本当は店を開けたいですよ。平日より売り上げの良い週末ですから……」
これはあくまでも新聞記事。発言の一部分が切り取られています。普通の感覚の経営者ならこういうことは言わないよね、とは思うのですが。
売上が上がるのと、利益が良い、つまり、儲かるかどうかは別です。
羽ノ浦店の土日2日間の売り上げは平日5日間に匹敵する。
もし、上の文章が事実であれば、土日に店を開けて平日閉めた方が絶対に効率がいいです。
つまり、やってることが逆なんです。戦略を思いっきり間違っている。
というのも、毎日パンを食べる日本人って確か全体の6割くらいなんですよね。で、そのうちさらに8割くらいの人が、パンを食べるのは朝食だけらしいです(ソースは定かではないですが)。
日本人の主食はやっぱりコメなんですよ。毎日パン屋に行ってパンを買う、という人はそもそも少ない。
ということは土日だけ、あるいはせめて金土日だけの営業にすれば、そこに一週間分に近いお客さんを集中させられるはずなんです。
本当にお店自体に人気があれば、の話ですけどね。
人が集まらない理由は何か。
人手が足りないから日曜を閉めざるを得ない、みたいな言い方してますけど、ちゃんとしたお給料、例えば、時給2,000円払えば日曜でも来てくれる人は必ずいます。このご時世ですから、1,500円でも応募は来ると思います。
平日開けないといけない理由は色々想像できるんですが、「平日だけ働きたい」という従業員を雇い過ぎているというのがあるんじゃないですか。これは推測ですけど。
いい時給が払えないのは、まずは1個当たりの利益が少ないから。
そしてもう一つは、売上の伸びない日の固定費がかかり過ぎていることが原因でしょう。
日曜に開けたいのなら、儲からない平日の固定費を徹底的に下げるのが「経営」です。
ちょっとだけ批判を。
最後に一つだけ、全力で批判をさせてください。
「最低賃金の目標を掲げるのは構わないが、業種や地域によって出せる金額は異なる。さらに生産性の向上を上回る賃上げを求められると、利益率の低下につながる恐れがある」
自分の経営の甘さを棚に上げて、今現在、実際に従業員を雇っているお店の経営者が、平気でこういうコメントを出せるのがちょっと信じられません。
外国人技能実習制度を利用(悪用?)して、薄利多売をやっている。そして、賃金の安い外国人が雇えなくなった途端に、利益が出なくなって閉店、休業。
いざ求人をかけても日本人労働者が集まらない。
このお店って、最初から、真っ当なビジネスとして成り立っていない可能性が高いです。
生産性の向上どころか最初から削れるところなんてないのでは。
人が集まらないのはなぜか。それは、ほかの働き口と比べて魅力がないからです。
そこで働いても大して稼げないし、やりがいもないし、楽しくないからです。
それ以外に理由なんてないんですよ。まずは、この事実を経営者が自覚することが必要じゃないかな、と思います。
こんな記事書く毎日新聞も落ちましたな。
合掌。